アイシンものづくり精神(スピリッツ)4 アイシンものづくり精神(スピリッツ)4
電動ステアリングコラム開発物語 電動ステアリングコラム開発物語

衝突時の安全性確保へ知恵を結集せよ! 衝突時の安全性確保へ知恵を結集せよ!

最終構想が近づきつつあった。
しかし、まだ乗り越えなくてはいけない大きな山があった。
その一つが、衝突安全性を確保するための部品構成だった。

開発要件であったコラムカバー内の下側隙間の確保と衝突時のコラムストローク確保のため、メカ構成の簡素化を行う必要がある。
そこで駆動モーターの位置を大幅に変更した。
これによってコラムカバーとの隙間とコラムストロークを確保しようというのである。
が、まだ十分ではない。

次は部品点数の削減だった。
ひねり出した案はチルト機構とテレスコ機構の駆動ユニットを共通化することだった。
これなら部品点数を大幅に減らすことができ、軽量化にもなる。

コスト対策にも力を注いだ。
最終的には部品の種類で35%、点数で15%、重量も従来比で約25 %も減らすことに成功した。

生産関係者と開発に携わった技術者たちによる、まさに「知恵の結集」がもたらした成果だった。

2000年初め、最終構想を提案。
当社の設計案がほぼ全面的に認められ、02年11月発売のレクサスGX470以降、全ての電動コラム設定車種に採用されることが決まった。

レクサスGX470に搭載された電動コラム。 レクサスGX470に搭載された電動コラム。
レクサスGX470に搭載された電動コラム。

進化し続ける電動コラム。走行系事業の新たな柱が誕生 進化し続ける電動コラム。走行系事業の新たな柱が誕生

かつては高級車向けが主流だった電動コラムは、2000年代に入りRV車にも需要が拡大。
国内では02年末のプラドを皮切りに、翌03年1月にはハリアーが量産体制に入った。
04年にはクラウン、クラウンマジェスタ、05年にはアリスト、ウィンダムなど。

さらに海外での生産も展開された03年8月には北米のアイシン・ドライブトレインで生産を開始、北米ハリアー向けは、すでに月産5,000〜7,000台にのぼっている。

そして05年からは中国のアイシン天津車体部品でもクラウン向けの生産を始め、これで日本・北米・中国の世界三極生産体制が実現。
低迷した時代からはもはや隔世の感がある。

製品の機能も充実の一途をたどっている。
最新型の電動コラムでは、チルト&テレスコ機能に加え、さらに快適性や防犯性を高めた機能が付加された。
ステアリングホイールの最適な位置を運転者ごとに記憶するメモリー機能、駐車時にハンドルをロックする盗難防止機能など。
キーを抜くとステアリングホイールが跳ね上がり、キーを差し込むと記憶した位置に自動で戻るオートアウェイリターン機能は、ドライバーの乗降性を向上させた。

次々と進化を遂げる電動コラム。
機能性、静粛性、価格面などで優位を保ち、海外メーカーからの引き合いも少なくない。

課題をクリアするためのつねに前向きな姿勢と優れた製品を世に出そうとする“気概”。

この2つを持ち続けたメンバー達によって、電動コラムはアイシン精機走行系事業の新たな柱となった。

電動チルト&
テレスコピックステアリングコラム

上下の角度(チルト)と前後の距離(テレスコピック)を電動で調節でき、運転時の疲労を軽くしたり、乗り降りをしやすくするなど、人にやさしい機構。