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オートメーテッドマニュアルトランスミッション開発物語 オートメーテッドマニュアルトランスミッション開発物語

テスト車が走らない!賭が裏目に… テスト車が走らない!賭が裏目に…

2002年1月、最終試作によるテスト走行を繰り返していたとき、新たなトラブルが発生した。
テスト中に荷重制御装置が動かなくなり、クルマが止まってしまったのだ。

原因はまもなく判明した。

厳しいコスト目標を抱えていた開発チームは、最終試作で大幅に構造変更をするという賭けに出ていた。
当然、時間的な余裕はない。
そこで、本来は順を追って確認すべき3段階、つまり「設計での理論分析」「台上での評価試験」「実車でのデータ計測」を同時に進めていたのだ。
解析データの分析結果が出ない段階で試験走行を強行していたのだが、やがて過酷な条件下で実験を行ううちに、LCCが想定以上の高温になり、水やほこりの影響もあって異常を発生させたのだ。

開発リーダーが言った。
「悔やんでも仕方ない。製品単体でデータを分析するだけでは、システム全体の状況が把握できないということだ。
システム全体を把握できるシステム監視機能が必要だな」

開発チームはシステムの状態を逐一確認して、様々な状態の変化をパソコンで監視するしくみを取り入れた。
さらに、荷重制御の安定性を高めるためにばね荷重を増やす、ダストが入りにくい構造に変更する、 ばね材料を変更するといった対策を矢継ぎ早に実施した。
その間約2カ月――。

MTを上回る燃費効率と、ATをしのぐ低コストを実現 MTを上回る燃費効率と、ATをしのぐ低コストを実現

改良された試作は、国内はもとよりドイツやスペインヘも運ばれ、実車テストが行われた。
部品メーカーが欧州を舞台に大規模な実車走行テストを行うのは、きわめて異例のことである。
国内でも北海道・豊頃と愛知県・藤岡の両試験場と公道で、実車テストを繰り返した。

「10万km突破!」の報告が次々と寄せられたのはまもなくだった。

2003年春、オートメーテッドマニュアルトランスミッションを搭載したトヨタ・ヤリスは誕生した。
さらに04年に登場したトヨタ・カローラバーソでは新機能を追加。
自動モード(ノーマル)に加え、「スポーツモード」を設定し、走りに徹したドライブが楽しめるようにした。
搭載車種もトヨタ・カローラ・ディーゼル、ヤリス・ディーゼル、スズキのスイフトなどへ拡大している。

従来のMT車に比べ、モーター式自動MTは燃費効率で約4%上回り、コスト面ではAT車をしのぐ低さを実現。
当初の性能上の目標はほぼ達成した。

メンバー達は、「MTを超える走りを具現化した、さらに革新的なオートメーテッドマニュアルトランスミッション」という新たな目標に向けて、すでに走り出している。

実車による走行テストは世界規模で行われた。
(左:欧州、右上:豊頃試験場)
完成したオートメーテッドマニュアル
トランスミッション
  • 実車による走行テストは世界規模で行われた。
    (左:欧州、右上:豊頃試験場)

  • 完成したオートメーテッドマニュアル
    トランスミッション