●操作時間14秒の壁を破れ

 しかし、開発はこれで終わったわけではなかった。
 プリウスでのインテリジェントパーキングアシストのオプション装着率は85%と高く、多くのお客様に使われるなか、「使いにくい」といった声も、少なくなかったのだ。

 「使いにくさ」の一番の原因は、駐車位置設定の煩わしさにあった。初代のシステムでは、シフトレバーをリバースに入れると、モニターに駐車目標位置を表す緑の枠が表示され、ドライバーがその枠をタッチパネル上で操作して目標位置を設定するしくみだった。
 最初に表示された枠の位置が、ドライバーが本当に駐車したい位置から少し離れてしまうことがあるのに加え、タッチパネルの操作も縦・横・角度の3つをそれぞれ調整せねばならず、慣れないと時間がかかってしまうのだ。結果的に、シフトレバーをリバースに入れてから、実際に車が駐車の動作を始めるまでに平均して14秒かかっていた。

「14秒か…。まだまだ長いな」
 操作時間を短くするため、開発チームはアイシンの得意とする画像処理の技術を応用できないかと考えた。カメラでとらえた画像の中で駐車目標位置を自動で見つけ出すことができれば、タッチパネルの操作回数も減り、操作時間を大幅に短縮できる。そこで、後方カメラの映像から路面上の駐車区画線(白線・黄線)を検出し、駐車目標位置を自動で設定する技術の開発に取り組むことになった。

 アイシンは後方カメラ映像を利用した同様のシステムとして、既に「レーン逸脱報知システム」で車と車線との距離を測定するという技術を実現していたが、これを駐車に応用するには大きな壁が待ち構えていた。

駐車支援システムの駐車位置設定

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