●駐車するための「認知」「判断」「操作」、
 すべてを支援するシステム

 車を運転する時に人間が行う行動は、大きく「認知」「判断」「操作」の3つに分けられる。駐車の場合も同様で、まず空いているスペースや障害物の位置関係を「認知」し、どこでどれだけハンドルを操作すればよいかなどを「判断」、そして実際にハンドルやブレーキを「操作」して駐車する。普段はドライバーがそのすべてを行っている。

 それまでの駐車アシストでは、バックカメラの映像に加え、ハンドル操作に連動した予想コースを表示したり、音声ガイドをすることで、「認知」と「判断」の部分を支援していた。しかし、新しいシステムは、ハンドルの操作も車側で行うことで世界初の「操作」支援まで行う駐車支援システムとなるのだ。
 しかし、それは到底容易なことではなかった。駐車すべき位置を正確に認知し、刻々と変化する車の位置を検知しながら、ハンドルをスムーズに動かして駐車位置へ近づけていくこと自体、初めての挑戦である。構造物や他の車と接触せずに、正確に駐車させる「操作」の精度が必要な上、「認知」「判断」の部分でも、今まで以上の精度が求められた。また、システムの誤作動を防ぐのはもちろんのこと、ドライバーが誤った操作をした場合にも安全を確保できるシステムでなければならない。そして、ドライバーにとって負担が少なく、操作が簡単で使いやすさも必要だ…。そのすべてをクリアするシステムを開発する必要があった。

「実験室ではできるかもしれない。しかし商品化は無理だろう」
 社内から聞こえてきたのはそんな声だった。


車両後方についているカメラ(上)とカメラの映像(下)。この映像を用いて、目標の駐車位置を設定し、車を正確に移動させなければならない。

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