●システムサプライヤーとして、
 徹底した品質のつくり込み

 2001年11月。PSD部品の量産が始まった。
 生産は新川工場がドアクローザーやリリースアクチュエーター、新豊工場が駆動ユニット、給電ユニット、タッチセンサー、半田電子工場が各種ECU、西尾車体工場が樹脂製インサイドハンドルなどを担当した。新豊工場ではシステム全体の品質を評価するために、各工場の個別ユニットをマスターボディーに組み付け、検査を行った。

 新川工場では、部品形状から自動化が難しいドアクローザーなどの部品について、初期段階から生産技術部と協議し製造方法に関する検討を重ねていった。
 車種が拡大した03年からは、生産量増加に対応するため「新川流価値作業」の考えを採り入れ、作業の効率化を徹底していった。また品質のばらつきを減らすため、可能なかぎり専用機による機械化を進めた。

 新豊工場では、部品製造とPSD全体の品質保証を担当した。設備設計・生産工程づくりに関わったのが、新豊工場生産技術部・知久 だった。

 「とにかく、ケーブルや電磁クラッチなど、扱う製品が初めてずくめだ。各単体製品だけでなく、“システム”として製品を理解しなければ、より良い設備・工程をつくることはできないだろう。生産準備にあたり品質と生産効率の向上に心を配らなければ」。
 とくにつくり方を工夫したのがケーブルだった。設備・冶具には可能な限り樹脂部品を使用し、コーナー部のR取りや保護テープ貼りなどの傷防止対策を行った。また、組付けはケーブルにテンションを掛けて組付け性を確保したほか、プーリーへの誤配策などの重要な品質不良に対しては、機械式ポカヨケおよび画像処理による発生・流出防止対策を施した。
 また生産設備では、かしめ機などPSD専用機数台のほか、駆動ユニット、タッチセンサー、ラッチリリースの作動確認機を独自に開発。これらの専用機が品質向上に大きく貢献した。

 新豊工場は普段、モール、ドアフレームなど外装部品やシートアジャスターなど機能(自己完結)部品の生産が中心で、車両でのシステム製品の品質保証を行うのは初めてであった。
 開発陣は、得意先の不安を取り払うため、細心の注意を払った。たとえばドア部品の組付けを行う車体メーカーに対しては、PSD構成部品の品質達成状況や生産準備の進捗を定期的に伝える場を設けた。月1回の報告会では互いに情報を交換をはかり、当社からの提案が車体設計側の改良につながったケースもあった。

 また、工場品質保証担当の視点から、新豊工場品質チーム係長・加藤が重視したのが、システムサプライヤーとしての徹底した品質のつくり込みだった。新豊・新川・半田電子・西尾車体の各工場を、システム構成部品の仕入先メーカーと考え、各部品の品質をしっかりつくり込むこと。また得意先と連携して、アフターサービスを含めたPSDの品質保証体制も構築した。

 もう一つ、海外生産を視野に入れた作業の標準化もポイントだった。当初から北米の新設工場でPBDを含むPSDを立ち上げる計画があった。このため、海外の工場でも素早く理解し導入できるよう、PSDの状況が対話式に診断できるモニターや、車両の誤差がない状態で各ユニットやシステムが性能評価できるドア正寸可動検証ゲージなど、品質保証の道具やその技術指示書などを日本でつくり、現地で導入した。

 初めての試みに工夫と知恵を盛り込み、それぞれの部門でメンバー達は目の前にある課題に取り組んだ。営業、開発、生産、品質保証を含め、あらゆる場面でシステムサプライヤーとしての視点が息づいていた。

新川流価値作業
工程ごとに価値を生む作業範囲を決めて(ストライクゾーン)、範囲内に組付部品を取りやすい状態で供給し、作業時間の短縮、ばらつきのない工程づくりをめざすこと。

PSD専用の工作機械

AMIでの生産準備時に使用した品質保証の道具類。正面に実車ボディーへ装着された各システム構成製品、左右はドア正寸可動検証ゲージ、左奥にハンディPSDチェッカー(故障診断チェッカー)がある

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