●発想の転換から生まれた、
 世界最小・高出力駆動ユニット

 ドアを動かす機構は決まった。次はシステム製品として、いかに各製品を形にしていくかだ。競合他社と比べて、圧倒的に高性能なシステム製品を開発するためには、社内やグループ内だけでなく、専門ノウハウを持つ異業種の外部メーカーの協力を得る必要があった。

 主要な装置の多くは共同開発によって進められた。なかでも開発の焦点となったのは、ケーブルを巻き取る、開閉の速度を制御するなど、作動の心臓部となる駆動ユニットだった。同ユニットには、ドア内部に納めるため小型・薄型化、軽量化が求められた。そのため電磁クラッチ、センサー、ケーブル巻き取りドラムなどの主要部品を、いかに駆動ユニットとして構成するかが大きな課題となった。またドア内部に納めたことによるドア重量の増加に対応するため、高出力化も必要だった。
 駆動ユニットの小型化は、限られたドア内スペースに配置する上でどうしても越えなくてはいけないハードルだったのである。
 メンバー達はさまざまな他社品を机の上に一同に並べ、見比べた。
 「どれも大きいなあ」
 「どこも多軸構造をとっているからだろう」
 「そこから発想を変えないといけないわけか」
 得られた結論は、
 「小型化には、ドラム・クラッチ・ウォームホイールすべてを1軸にまとめるしかない」
 というものだった。
 そのために極限レベルでの試行錯誤が進められた。モーターでは内部のブラシの位置やPTC(焼損防止の保護素子)の固定方法までモーターメーカーと限界まで詰めたほか、クラッチにいたっては、高出力が出やすいように磁束回路を変えたり、摩擦材を変えることまで行った。
 こうした妥協を許さない精神がユニットの大幅な小型化へと結びつき、世界最小、高出力の駆動ユニットが開発されたのだった。駆動ユニットに関連した特許は30を超えた。

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