●ものづくりのジレンマ――ロボット化と感性との間で

 2000年、最終組付け工程を担当する半田工場での量産が始まった。
 だが、しばらくして問題が持ち上がった。「GA21」の場合、組付けラインのうちハウジングのかしめ加工は自動だったものの、他の組付け作業はほとんどが手作業だった。部品点数が280点にも及ぶため、作業者の熟練度に頼る面も多い。その結果、月産2万台が限界だったのである。これでは増産に対応できない。事実、その後の需要増大もあって生産能力は限界に来ていた。

 「自動化しかない」
 半田工場長・角谷等は即座に判断を下した。そして02年末には、最新の生産設備の導入と同ラインの自動化をはかった。
 自動化にあたってはロボットと画像処理技術を大幅に採り入れた。組み付ける部品の向きを補正し、人間に近い動きで迅速に組み付けていくには、センサーなどを通じて得られた画像を迅速に処理し、それによって実際の作業を行うロボットが不可欠だった。
 ロボット以外は工機工場で設備を内製したが、こうした取組みによって、ECU基板のシール部品(軟弱部品)を除き、全てを自動化することができた。手作業で組み付けていた頃と比べて、生産量は5倍にアップし、ライン担当5名をマシン担当2名に置きかえるなど、省力人化も進んだ。

 しかし一方、半田工場品質グループグループマネージャー・中塚は新たな悩みを抱えることになった。自動化が進み、生産性が向上する一方で、本来の“ものづくり”の面白さが見失われるのではないかという危惧だった。その対策として半田工場では、普段から現場のJP、職長クラスにも“感性を磨く”教育プログラムを採り入れるようにした。
 設備を管理する場合、生産設備の動きが「正常か、異常か」だけですべてを判断しがちになる。それを防ぐためにも、機械に任せっきりにするのではなく感性を研ぎ澄ましておく必要があるとの判断からだった。日々の生産活動の中で、刻々と変化するものを三現(現地・現物・現認)で把握し(=感性による把握)、それを具体的なものづくりや管理に生かしていくのである。
 自動化ラインと感性との融合。それは、これからのものづくりの課題の一つとなっている。

“感性を磨く”教育プログラム
日頃から観察力や五感を使ってものを見る目を養うため、年に2回程度行っている教育プログラム。例えば、工場敷地内から採ってきた樹木の葉っぱを各自に1枚ずつ渡し、観察から得た情報を20項目にわたって発表するなどユニークな内容である。

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