●超小型・軽量・性能でNo.1。
 世界最高のABSをめざせ!

 クルマの基本性能のうち、「曲がる」「止まる」という機能は安全走行に直結するきわめて重要な要素である。たとえば、凍結した路面や濡れた道路などを走行中に、急ブレーキで車輪がロックし、ハンドル操作がきかなくなった経験はないだろうか。そうなると車両は制御不能となり、事故へつながる危険性が高まる。

 この急ブレーキによる車輪ロックを防ぐ安全装置がアンチロックブレーキシステム(ABS)である。ABSを搭載した車両では、運転者が急ブレーキを踏んだとき、コンピューター制御によってブレーキを断続的に働かせ、車輪ロックを防ぐことができる。

 1970年代から当社はこのABS開発に関わってきた。当初は特別装備であったABSも、安全性能へのニーズが高まるとともに需要が増大。80年代後半からは市場が急成長し、同分野は競合部品メーカー同士が激しく争う有数の激戦区となっていた。
 そうしたなか、トヨタ自動車はABSを全車に標準装備する計画を発表。となれば、今まで以上に開発サイクルが短くなり、低コスト競争も加速するだろう…。

 激しくなる一方の競争と開発の短期間化、そして低コスト要求の嵐の中で、どう事業を育てていくか。
 開発陣の出した結論は、「世界最小・最軽量、性能で世界No.1、なおかつ低コストのABS」を開発することだった。

 90年代初めからABS開発に関わってきた技術陣は、世界最高のABSをめざし、チャレンジを開始した。

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