●知恵を使って生産性と不良率を改善

 開発メンバーが耐久性の向上に取り組んでいる頃、生産現場でも試行錯誤が続いていた。とりわけGHPを生産していた安城工場の工長は頭を抱えていた。
 「生産性が悪すぎる。これでは利益が出ない」
 課題の一つがこれだった。7人ほどの人間で1日4〜5台。今後受注が増えれば、これで対応できないことは明白である。
 工程内不良の多さも問題だった。ろう付けの不具合やリークテストの甘さ、組付けミス、ネジの緩みなどで東京ガスからのクレームも少なくなかった。
 工長は動いた。まず取り組んだのは工程の流れ化である。組付けの内容と歩行動線を分析し、工程を再構築。台車を利用するという発想でライン化にこぎつけた。
 甘さを指摘されていたリークテストでは、それまで最終段階でしか行われていなかった検査を工程ごとに徹底させるようにし、組付けミスをなくすためのポカよけ装置もつくった。さらに、作業のしやすさという観点からろう付けやネジの位置の変更を技術部に依頼した。

 だが、最大の課題は人のスキルアップだった。ろう付けの不具合にしてもリークテストの甘さや組付けミスにしても、スキルが低かったり、人によって差があったりすることが一番の原因だということがわかってきたからだ。
 「とにかくトレーニングしかない」
 ここで生かされたのが「現物主義」だった。実際にろう付けをした現物のカッティングモデルを作り、どのような時にどのような不良が生じるのか、目で確認できるようにしたのである。
 「お金ではなく知恵を使って不良をなくし、コストを下げる」
 というのが工長たちの一貫した姿勢だった。
 1台ごとにチェックシートをつけるようにしたのも、そうした知恵の一つだった。1台ごとにカルテのようなものがあれば不良を後へ流すこともないはずだという発想から生まれたもので、当社にとっても初の試みだった。

 耐久性の向上をめざす開発チームと並行して、生産現場でこうした地道な取組みが行われた結果、徐々にではあるが、故障率は着実に改善していった。

現在、30人が「ろう付け組立作業(中級)」の社内技能検定に合格

    チェック項目が53にものぼる
    品質チェックシート

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