●ベーン型VVTの実用化へ。敗者復活戦を勝ち抜け!

 自動車開発における重要なテーマの一つに、地球環境への配慮がある。地球温暖化対策をはじめとする環境保護規制は年々厳しくなっており、部品開発の分野でも環境対応へのニーズは高い。
 エンジン開発も例外ではない。環境対策の視点を抜きに製品作りは成り立たず、とりわけ燃費向上や排気ガス抑制に関わる要素技術に対する各メーカーからの期待は大きい。

 なかでも、近年大きな注目を集めているのが「可変バルブタイミング機構(VVT)」である。クルマの走行状態に合わせてエンジンの吸気・排気のバルブ開閉タイミングを連続的に制御するシステムで、出力アップに加え燃費の向上、排気ガスの抑制に大きな効果を発揮する。

 そうしたすぐれた特性を持つVVTは1980年代にアルファロメオで量産されて以来、自動車メーカーからのニーズが着実に高まっていた。当社でも、86年からVVT開発に挑戦。91年に発売されたトヨタ・カローラ/レビンに歯車型VVTが初めて採用されるに至った。当時開発に関わった機関系技術部動弁チーム6人の“労作”だった。

 ところが、この歯車型VVTへの評価は芳しくなかった。多くの課題を抱えていたため、他車種への展開が進まなかったのである。コンペに負け続けた。改良もうまく進まず、やがて社内でささやかれるまでになったのは「良いアイデアが出なければ、チーム解散だ」という言葉だった。

 そうしたなか、開発メンバーが背水の陣で取り組んだのが、圧倒的な優位性を持ったベーン型VVTの実用化だった。

1/7