●FINE REVOをアピールせよ

 一方、営業や販売企画には大きな宿題が課された。「寝返りのしやすいマットレス」という業界初の商品をどうデビューさせるかという課題である。画期的である分、ありきたりの市場投入戦略では開発陣に対しても申し訳がない。ベッド&リブラン部・中西をはじめ、メンバーはそのことで頭を悩ませていた。

 まず、これまでにない特性を持った新しい商品をどう印象づけるかである。しかし、いいアイデアが出ない。
 「実際に使ってもらえれば、よさがわかってもらえるんだがな」
 「試作品を試したとき、感動したもんな」
 「今まで体験したことのない柔らかさというか感触だった」
 そんな会話を交わすうち、「その感動をそのまま伝えよう」と誰かが言い出した。自分が試作品に初めて触れたときの感動をお客様に体験してもらおうというのである。
 弾性体の感触が体感できるツールを作った。弾性体を3個並べ、フィルムでカバーする。これに触れれば、貝柱のようでもあり、和菓子のういろうのようでもあり、羽二重餅のようでもある不思議な感触が体験できる。次に弾性体を使った座布団を用意し、これに座ってもらう。さらに「寝返り比較実験ツール」も作った。競合品となる低反発ウレタンフォームと弾性体の座布団の上でダンベルを転がして比較してもらうもので、弾性体の座布団の上では、抵抗が少ないため指一本でダンベルを軽く転がせる。
 体感型ツールを通じて特徴が実感してもらえれば必ず売れるという判断だった。この特徴を言葉で分かってもらうため、弾性体そのものに「FINE REVO」という名前もつけた。

 次は、販売店に対してどのように売り込むかである。
 販売企画が採ったのは10月の発売開始に向け、デビューイベントを仕掛け、「衝撃デビュー」を印象づける戦略だった。時期は新作発表会が開かれる7月。対外的に新商品への期待を高め、アイシンの意気込みを販売店に感じさせようというのだ。
 発表会当日、ホテルでショー形式のイベントを実施。開発責任者や営業責任者も、直接新商品を情熱的に語った。
 こうした一過性のイベントだけでは不十分と見た中西たちは、継続的な販売店支援のために「CLUB FINE REVO」という組織を立ち上げ、価格面でのメリットや店頭でのディスプレイ支援をする代わりに、SFFを第一推奨商品に位置づけてもらうことにした。その加盟店を募り、あわせて商品の紹介や接客方法をまとめたビデオを配布し、販売員教育を行った。これまでやってこなかったインストアマーチャンダイジングにまで踏み込んだ提案を行ったのである。

 こうして当社のスーパーフレックスフィットマットレスは市場デビューを果たしたのだった。

販売風景
(手前が販促ツールの座布団とダンベル)

FINE REVO
「美しい、快い」のFINEと「変革」のREVOLUTION、ラテン語で「休息」を意味するRESTAURABOを合成して命名。

デビューイベントの様子

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