●寝心地がよく、寝返りがしやすい、
 これまでにない価値を持ったマットレスを!

 眠りは人間にとって欠かすことのできない行為である。1日24時間のうち8時間眠るとすると、一生のうち3分の1は寝床ですごす計算になる。しかし、ストレスの多い現代社会では、「なかなか寝つけない」「熟睡できない」「目覚めたときに爽快感がない」といった声も少なくない。

 当社は1995年、体をやさしく支えてくれる体圧分散性に着目したジェルマットレスを発売し、好評を得ていた。しかし、低反発ウレタンフォームを使って同様の性能を実現した「低反発マットレス」が急速に台頭しはじめたことで「ジェルマットレス」のシェアは一時、ピーク時に比べて約30%も減少していた。

 本当に快適な睡眠を実現する、これまでにない価値をそなえた新しいマットレスを――。そこで当社が着目したのが、“寝返り”であった。適度な寝返りは深い眠りのためには欠かせないが、不必要に多くなると、体力を消耗してしまい、目覚めた時の不快感につながるからである。

 こうして2000年春、新しいマットレスの開発に向けた歩みが始まった。「寝心地がよく、かつ、心地よい眠りに必要な寝返りがしやすいマットレス」が開発のターゲットである。「快適な寝心地」と「寝返りのしやすさ」という、本来なら両立のしないものをあえて一つのマットレスで実現しようというのだ。

 しかし、意気込むメンバーの前に待ち受けていたのは、辛く苦しい開発中止命令だった。

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