●内なる壁を超えて、次の進化へ

 2003年春、モーター式自動MTを搭載したトヨタ・ヤリスは誕生した。さらに04年に登場したトヨタ・カローラバーソでは新機能を追加。自動モード(ノーマル)に加え、「スポーツモード」を設定し、走りに徹したドライブが楽しめるようにした。搭載車種もトヨタ・カローラ・ディーゼル、ヤリス・ディーゼル、プジョー・シトロエングループ(PCA)とトヨタ自動車の合弁事業によるAYGO(アイゴ)、スズキのスイフトなどへ拡大している。

 従来のMT車に比べ、モーター式自動MTは燃費効率で約4%上回り、コスト面ではAT車をしのぐ低さを実現。当初の性能上の目標はほぼ達成した。
 これは、「試作段階から欧州の多くの人たちに試乗してもらい、その意見をきちんと反映していった」(営業部駆動商品部長・古澤)というマーケット志向の姿勢のおかげもあったし、それ以上に、トラブルや失敗にめげることなく課題に挑んでいった技術者達の奮闘の賜物でもあった。

 「壁は心の中にもある」と言われる。開発や市場開拓に携わったメンバー達は、目の前に立ちふさがった、見える壁だけでなく、それぞれの心の中にあった「内なる壁」をも突破してきた。すなわち、心の中の壁を乗り越えない限り、新たなブレイクスルーは生まれないのである。そのことをモーター式自動MTの開発を通して知ったメンバー達は、「MTを超える走りを具現化した、さらに革新的なモーター式自動MT」という新たな目標に向けて走り出している。



※文中の所属・役職は当時のものです。

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