●第3のトランスミッションで欧州地図を塗りかえろ!

 「車はオートマチックで運転するもの。マニュアルは一部のスポーツタイプに搭載されているだけ」――日本や米国におけるこんな“常識”が通用しない地域がある。欧州である。オートマチックトランスミッション(AT)の搭載率が90%を超える日本や米国に対し、欧州ではわずか20%程度。ほとんどがマニュアルトランスミッション(MT)車なのである。ドライバーが自分のタイミングでシフトチェンジでき「運転している実感」が味わえることに加え、動力性能に優れ、低コスト・低燃費であることがその理由だ。

 日本や米国におけるMT搭載率の低下により、当社のMT関連部品は減少傾向にあった。しかし、一方で欧州には巨大なMT市場が存在する。「培ってきた技術を生かしたシステム製品をつくれないだろうか」という思いがあった。「我々は欧州では後発メーカーだが、MTの概念を塗りかえるような新しいMTをつくりだせれば、欧州市場を動かせるだろう」というわけだ。

 そこで浮上してきたのが、自動式のMT、すなわち「オートメーテッドマニュアルトランスミッション」だった。MT車の低燃費とAT車の便利さを融合させた、いわば第3のトランスミッションである。これが実現すれば、欧州のMT市場を切り拓き、当社のクラッチ関連製品はV字回復を果たせるかもしれない――。
 
 こうして1999年、当社は自動MTの先行開発に着手したのだった。

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