●めざすは、オール・イン・ワンの夢のキー

 2000年8月、日本初の電子式総合キーシステム「スマートキーシステム」は誕生した。世界一厳しい日本の電波法をクリアし、アンテナとセンサー部の小型化によりドアハンドル内蔵を実現したことで、車種展開も容易。ベンツを越える可能性にあふれた商品となった。
 量産化が始まり、3代目のトヨタ・セルシオが市場に登場した頃、虫明は街でスマートキーシステムを搭載したクルマを見かけると頬がゆるむのを抑え切れなかった。
 「わざわざディーラーに見に行ったり、コンビニで駐車してあるセルシオを見つけて喜んだり…。苦労した分、達成感は大きかった」

 その後、スマートキーシステムは、新たな展開を見せ始めている。あらゆる車種のドアハンドルに組み込めるアンテナ・センサーの開発を行い、すでにトヨタ自動車の多くの車種への搭載が始まっている。

 ワイヤレスキーから、スマートキーへ――。全車標準化をめざし、技術の改良に取り組む技術者たち。その目線の先には、さらなる未来像が描かれている。
 「将来は1つでオールマイティに使えるキーを作り出したい。クルマ用のキーとしてだけでなく、住宅や職場など、暮らしのあらゆる場面で、同じキーを使える、オール・イン・ワンの夢のシステムだ。 これができれば今よりずっと便利になることは確実だろう。こうした、どこでも使える“ユビキタス通信”が、私たちのめざすもの」
 と語る村上。夢の実現に向けて技術者たちは今日も、新たなテーマに挑み続けている。


※文中の所属・役職は当時のもの、上記リストの所属・役職は2005年6月現在のものです。

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