●クルマのキーを不要にする、次世代型キーシステムへの挑戦

 ごく近い将来、クルマの運転にキーは不要となるかもしれない…。2000年夏に登場したトヨタ自動車のフラッグシップカー・3代目セルシオ。同車に日本で初めて搭載された次世代型キーシステムは、そんな未来への予感を感じさせる画期的な技術だった。

 その名は「スマートキーシステム」。オーナーがスマートキー(携帯キー)を身につけた状態でドアハンドルを握るだけで、自動的にドアロックが解除される。電波を利用して、スマートキーと車両側の発信機が情報をやり取りし、所有者IDと照合できればドアロックを解除するしくみである。さらにドアの施錠やエンジン始動、トランクオープンもキーを出さずに行える。オーナーから見れば、乗降時に特別な操作は全く不要で、きわめて使い勝手がいい。

 先行したのは、ベンツをはじめとする欧州勢であった。すでに新しい方式のキーシステム開発に取り組んでいた。トヨタ自動車はもちろん、当社を含む部品メーカーとしても、こうした欧州勢に遅れを取るわけにはいかない…。

 こうして97年秋、トヨタ自動車、デンソー、東海理化と当社の4社が共同して次世代型キーシステムに向けた開発に取り組むことになった。当社が関わったのは、キー技術となるドア発信機、ドアハンドル内蔵アンテナ、トランク外発信機および同アンテナの開発だった。

 同システムにおけるロック機能は車両の防犯上、誤作動や故障は許されず、製品として高い信頼性が要求される。
 「セキュリティ性能と利便性を両立させ、世界一の製品を開発しよう!」
 そんな思いを胸に、共同開発プロジェクトはスタートした――。

1/7