これまでの「常識」や「ルール」にとらわれない、「発想の転換」によるアイシンの革新をめざして アイシン精機株式会社 取締役社長 伊勢清貴 いせ・きよたか
これまでの「常識」や「ルール」にとらわれない、「発想の転換」によるアイシンの革新をめざして

アイシン精機株式会社 取締役社長 伊勢清貴 いせ・きよたか

社長としての使命

2018年6月にアイシン精機の取締役社長に就任した伊勢です。このたびこのような大任を仰せつかることとなり、身の引き締まる思いです。ステークホルダーの皆様のご期待に応えるべく、精一杯つとめさせていただく所存です。
私は、これまでトヨタ自動車株式会社において主に技術開発畑を歩んだ後、レクサスの責任者や先進技術開発部門の責任者を務めてきました。特にレクサス開発センター長時代は、リーマン・ショックの影響で大きく販売が落ち込んでいましたが、役員をはじめ従業員全員が危機感を共有し一丸となることで、苦境を打破していく「変革のダイナミズム」を経験することができました。
さて、私の使命は、自動車業界に押し寄せる「100年に一度の大変革期」を乗り切り、50年、100年と成長できる企業の基盤を築いていくことだと考えています。そのために私はこれまでの経験を生かし、アイシングループ全体の構造改革を進めていきたいと考えています。

100年に一度の大変革期にある
自動車業界と
アイシングループの現状

現在、自動車業界は100年に一度の大変革期にあると言われています。各国の燃費・排ガス規制の広がりを背景にしたクルマの電動化や、コンピューター、画像処理、AIなどの進歩により自動運転が急速に進んでいます。また、異業種企業が続々と自動車業界へ参入し、競争は激化しています。技術革新の波は人々の価値観にまで及び、クルマは「所有」するものから「利用」するものへと移行し始めています。
そうした中、アイシングループは、オートマチックトランスミッション(以下、AT)をはじめとする主力商品の需要が伸びており業績は好調です。しかし大変革期においては、右肩上がりの業績は長期的に続くものではなく、パワートレインの電動化が更に進むとATの需要が無くなる恐れもあります。将来に向けた開発をスピーディに進めなければ、生き残ることはできません。
またアイシングループの利益構造を見ると、他のメガサプライヤーと比べ稼ぐ力がまだまだ弱く、十分なリソーセスが投入できていないという課題があります。
環境は大きく変化しています。私たちも、業績が好調である今こそ、変化に適応し、自らを変え、持続的に成長する基盤を築いていかなくてはいけないのです。

「危機感」の共有に向け
経営方針を策定

私たちは足元の好調な業績に満足せず、将来を見据えて「危機感」を持ち、自動車業界を取り巻く環境変化に適応していくことが大切です。そして、この危機感を一部の経営トップだけでなく、トップマネジメントを含む従業員全員が共有し、「変わらねば」という強い思いを持つ―。2018年3月に策定したグループ経営方針はこのような思いを込めました。
その中で、従業員全員に伝えた3つの行動指針を紹介します。

行動指針1 主体性とスピード

受け身の姿勢で待つのではなく、自分たちから能動的に動いていかなくては、ライバルとの競争に生き残っていけません。主語は「自分」なのです。従業員には「自分」で考えて「自分」で行動していってほしい、更にそれを、スピードを上げてやっていってほしいと思います。

行動指針2 聖域なき仕事のスクラップ&ビルド

新しいことを始めるには、当然ながらそこへ投入するリソーセスが必要ですが、リソーセスには限りがあります。したがって、新しい事業を始めるには、古い事業のスクラップが欠かせません。たとえそれが過去にアイシングループの発展に貢献してきたとしても、時代の流れとともに、競争力を失い、かつ市場での成長が見込めないのであれば、潔くスクラップし、リソーセスを新たな事業へシフトしなければなりません。我々役員は事業や商品改廃の検討を進める、従業員は無駄な会議や資料作りをやめ、時間を割くべき業務に集中するなど、職制に応じたスクラップ&ビルドを実践していきたいと思います。

行動指針3 あらゆる壁を打ち破る

部署間の壁、会社間の壁を打ち破り、グループが連携していかなければ、商品競争力の強化やグループとしての生産性向上は望めません。アイシングループがこれまで進めてきた「分社化」は小回りが利きスピーディな意思決定が図れることが強みであり、長い間アイシングループの発展を支えてきました。しかしその反面、グループ間での連携不足や経営管理部門の重複があることも事実です。2017年4月から始まったバーチャルカンパニー制はこうした課題を解決する仕組みです。今後は、このような「壁を打ち破る」動きを更に活性化させていく必要があります。

バーチャルカンパニーについては、「2017年度事業報告」をご覧ください。