グループ連携

世界No.1商品へのチャレンジ グループ連携を高めて開発した電気式4WDユニット
世界No.1商品へのチャレンジ グループ連携を高めて開発した電気式4WDユニット

アイシン精機、アイシン・エィ・ダブリュ、アイシン・エーアイのグループ3社が連携し、
共同開発した電気式4WDユニット。
新型プリウスE-Fourの駆動ユニットとして採用され、降雪地や寒冷地で“生活4駆”“ふだん使いができる4駆”
として、好評を博しています。3社がこれまで培ってきた固有の技術を高度に統合し、小型化、軽量化、低コスト化
を実現。加えてスピーディに開発、商品化できたことは、グループ連携の可能性を大きく広げました。

経営統合の背景と目的

2016年1月、アイシングループの連携強化が大きな成果を生み出した。それが、アイシン精機、アイシン・エィ・ダブリュ(以下 AW)、アイシン・エーアイ( 以下エーアイ)のグループ3社が共同で開発した「電気式4WDユニット」。これは、山道や悪路を力強く走行するために使われる従来の四輪駆動と異なり、降雪地や寒冷地での発進時や坂道での低速走行時に作動することで、安全、快適な走行を提供する、という新しいコンセプトで開発された。

特徴は3つある。まず、モーターとデファレンシャルギヤ軸を同軸化し、リダクションギヤとの2軸構成によりユニットを小型化したこと。次に、前輪駆動による走行時の引きずり抵抗をゼロにすることを目的に、後輪駆動用に磁力レスの誘導モーターを採用し、前輪駆動時のエネルギーロスをカット。さらに、ユニット内のモーターやギヤの回転によるオイル攪拌損失を低減できる新機構も採用した。これらの取り組みが、4駆でありながらも高い燃費性能や快適性をめざす新型プリウスE-Fourのデビューに貢献した。

実際の開発にあたっては、開発プロジェクトのまとめとユニットを包むハウジングなどをアイシン精機が、誘導モーターなどをAW、減速歯車などをエーアイが担当した。

アイシン精機のパワートレイン商品本部パワートレインシステム開発部、戸嶋裕基は、「冬季の雪道や凍結路面での安全性を4駆で実現しつつ、それ以外の季節での燃費性能を高め、かつ価格を抑えること」という、難しい課題解決を目標に開発に取り組んだと話す。

AWの技術本部、山本義久は、「当社は、オートマチック・トランスミッションのメーカーとして知られていますが、それ以外に独自のハイブリッドシステムや歯車、モーターも開発・生産しています。今回はモーターの開発力・技術力が大きく活きました」と語る。減速歯車を担当したエーアイの技術統括部、福原裕一は、「当社の強みである高い強度のマニュアルトランスミッションの開発技術や、走行時の静粛性を約束する精密な歯車の技術で貢献できる、と考えました」と言う。

アイシン精機株式会社 パワートレイン商品本部 パワートレインシステム開発部 部長 戸嶋 裕基
アイシン・エーアイ株式会社 技術統括部 福原 裕一
電気式4WDユニット

3社が目標と情熱を共有し、強みを活かして取り組む

3社が共同で開発に取りかかったのは2011年3月のこと。「ちょうど3社の中間地点とも言える当社(AW)に技術センターが竣工したので、そこに共同開発プロジェクトのための大部屋を設け、3社の技術者が常駐できる体制を整えました。これで、技術はもちろんのこと、高い目標と情熱を共有しながら開発を進めることができるようになりました」と、山本は当時を振り返る。

3社の技術の特徴と強みがうまく組み合わさり、プロジェクトは進んだ。「AWは、モーター開発、生産での強みを最大限に発揮することができましたが、実際、エーアイが持つマニュアルトランスミッションの技術や我々にはないアイデアが参考になりました。誘導モーターは、まったく新しいチャレンジでしたが、小型で高性能の誘導モーターを開発できたことは大きな自信につながりました」と山本。福原は、「エーアイでは、2軸平行ギアの開発にあたって、現時点での量産部品や加工方法を使うことでコストダウンにつなげると同時に、静粛性を追求し、試験評価でも貢献できたと自負しています」と語り、戸嶋は、「ユニット全体と各部品の開発や検討、調整を並行して進めることができたので、開発時間の短縮やコストダウンに寄与できました。それぞれ個性豊かな3社でしたが、これまでも連携してきた経験もあり、さまざまな面でスムーズに仕事ができたことが大きいと思います」と、胸を張る。

アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 執行役員 技術本部 副本部長 山本 義久

さらに、「北海道・豊頃町にあるアイシン精機の広大なテストコースを活用してユニットを搭載した実験車を走らせ、評価することができたことは開発を加速させただけでなく信頼性と完成度を高めることにつながりました」と戸嶋は言う。今、北海道では新型プリウスの受注台数の多くをE-Fourが占めると言われるほど、その評価は高い。

本格的なグループ連携の時代が始まった

「プロジェクトを通して3社の個性を活かせたことで、苦労よりも喜びの多い結果となったのは技術者冥利に尽きます。力を合わせるだけではなく、競い合ったりすることで、技術者たちはみな成長できました」と山本。戸嶋は、「共同開発を通じて、新たな分野の知見が広がるなど、予想以上の相乗効果も生まれました」と語る。3社が力を合わせたことで、小型・軽量化、燃費、コストなどにおいて、お客様の期待を超える成果を生み出した手応えを実感できたばかりでなく、今後のグループ連携を高め、さらなる展開を力強く推進できる大きなきっかけとなった。

今回の共同開発に成功したことは、この分野でアイシングループがグローバルに戦っていくためのベースとなったことは間違いない。部品単位ではなく、システム商品として、さらにパワートレインの潮流となる電動化技術を核とするプロジェクトを成し遂げたことは、3社のみならずグループ各社の競争力強化に取り組む技術者にとって、大きな刺激になったはずだ。これからも世界各地に広がるグループの開発拠点においては、お客様に認められるいくつもの商品開発が推進されていくはずだ。

新型プリウスの新しい魅力づくりに貢献した「電気式4WDユニット」。アイシングループの連携強化を加速し、技術力を統合するシンボルとして、これからのさらなる成長と展開が期待されている。

アイシン・エーアイ株式会社 技術統括部 福原 裕一
アイシン精機株式会社 パワートレイン商品本部 パワートレインシステム開発部 部長 戸嶋 裕基