アイシングループの成長を支える財務戦略とは

アイシングループは、2015年度から進めてきた5つの事業再編と2016年度の「課題解決活動」を経て、2017年4月、競争力をさらに高めるためにバーチャルカンパニー制を導入。今、大きな変化の時を迎えています。
株主・投資家の皆様に、アイシングループの成長と進化を支える財務のあり方をお伝えするために、世界の自動車産業を熟知する中西孝樹氏をお迎えして、財務担当の三矢副社長との対談を行いました。財務に対する基本的な考え方、方針・戦略とともに中西氏の貴重なご意見を紹介します。

事業の効率化で収益性向上

中西アイシングループの成長の姿を20数年来拝見してきましたが、着実に成長を遂げられてきたと思います。アイシングループとして成長し続けるために重要なことは何でしょうか。

三矢会社が持続的成長を続けるためには、事業の収益性向上が最も重要なことと考えており、その収益性を図る指標として、当社は売上高営業利益率、損益分岐点比率、ROE(株主資本当期利益率)を重視しています。近年、売上高営業利益率を改善するための施策として、二つの活動を行ってきました。一つは課題解決活動というもので、足元の利益率の厳しい製品について、モノづくり改善を中心に短期間での利益率改善に取り組んできました。例えば、2015年度に利益率がマイナス30%という製品もありましたが、この活動を通じて今ではプラスに転じています。もう一つは事業再編です。マニュアルトランスミッション(以下、MT)、ブレーキ、シート骨格、車体部品、ピストンの5つの事業において、他社を巻き込み事業構造を変えることで、グループの競争力を上げる活動を行ってきました。

中西これらの改善活動を通じて、今後めざす目標値があればご説明ください。

三矢変化の激しい時代の中でも持続的成長を続けることが重要であり、リーマンショックのような状況下でも耐えられる体質を保てるように、固定費の削減や付加価値の高い製品開発を通じて、損益体質の改善にも取り組んでいます。具体的には、1ドル=100円の状況下でも、損益分岐点比率80%以下をめざしていきます。ただし、固定費の削減の一方で、次世代分野の開発には積極的に投資していく必要があるため、無駄なところはしっかり省いて、お金のかけ方にメリハリをつけていくことが重要です。

中西損益体質の改善を進める上で、アイシングループの連携が重要だと思います。多くの連結会社、サブ連結会社を抱えてグローバルに事業を展開していることはアイシングループの強みですが、207社もの企業によるグループ経営については、その最適化という点では課題も存在するかと考えていますが、いかがですか。

三矢これまでアイシングループでは、ある事業が成長したら、その事業を分社化し、専門性を高めると共に小回りの利く経営を実現することで持続的な成長を促進してきました。しかし、それぞれが成長をめざしてきた結果、同じような製品を別のグループ会社でも生産するというように、人的資源や技術などさまざまなリソーセスが各社間で重複して存在するなど非効率な面もありました。

中西分社化の成果としてグループの強みである機動力が発揮されてきましたが、いろいろな意味で効率の悪さが存在しているという課題は私も感じてきました。その点をどのように総括されていますか。

三矢効率の悪さという点では、エージェンシーコスト(グループ会社間での意見の相反)や機能部門、管理部門の重複などもあります。例えば、人事、法務や経理といった機能は、グループ各社にすべてあり、それぞれが自主的に運用してきました。その結果、各社で最適を狙った仕組み・システムが構築されてきましたが、連結という視点で見ると必ずしも最適ではなく、効率を阻害する要因になっていました。こうした効率の悪さを解決するため、2017年4月より新たにグループ本社を発足し、機能部門、経営管理部門の集約・共通化を進めていきます。また、固定費の削減を加速させるために、ロボティクスやAIを積極的に活用していきたいと考えています。機能部門では、共同調達、共同物流、IoTの共同開発、経営管理部門では人事や経理のプラットフォームを統一し、簡素化・集約化を推し進めることで、さらなる効率化を図っていきます。

経営指標と今後の取り組み