本意見は、AISIN GROUP REPORT 2016※うち、環境分野について、関係者へのインタビューおよび関連施設の視察などに基づいてとりまとめたものです。本年度も、アイシン連結環境方針のもとで、環境取り組みが着実に進められていることが示されています。

※アイシングループCSRサイトは「AISIN GROUP REPORT 2016」の内容に基づき制作をしています。

2050年に向けた進化の姿が明示

2050年に向けた長期的な視点に立ち、4つの環境軸に沿って、ライフサイクルでのCO2「ゼロ」、環境負荷「ゼロ」など、めざすべき「進化」の形と重点取り組みが明記されています。

2015 年12 月に気候変動枠組条約に基づくパリ協定が採択され、21 世紀後半には人為的な温暖化ガスの排出と吸収を均衡させ、実質的なゼロエミッションとする社会・経済ビジョンが描かれたことからもわかるように、長期的なビジョンを明確に持ちつつ、短中期的な行動計画を着実に推進していくことが、世界で求められています。2050 年に向けた「ゼロ」化の取り組みは、まさにこの流れに沿ったものであり、これからの活動の進化に大きな期待を寄せたいと思います。

第5次環境取組プランに基づく着実な取り組み

2015年度までを計画としてきた第5次環境取組プランの中で、定量的目標値が設定されていた、事業所および物流活動における売上高当たり温室効果ガス、廃棄物、VOCの排出量はいずれも目標を達成しており、低炭素社会・循環型社会・自然共生社会・基盤活動という4分野について、着実に取り組みが進められてきたことがわかります。特に、売上高当りの廃棄物量およびVOC 排出量は目標を大きく上回る成果を上げたことは特筆すべきことです。

第6次環境取組プランの策定

2016年度からの5ケ年を計画期間とする新たな「第6次環境取組プラン」を策定し、2050年に向けた具体的な目標設定と重点取り組みが体系的に組み立てられています。

低炭素社会の実現に向けて、生産現場におけるCO2 削減の取り組みはすでにかなり展開されてきており、従来からの延長線上の取り組みだけでは、さらなる大幅なCO2 削減は困難だと考えられます。したがって、生産現場での知恵に基づく地道な取り組みと合わせて、紹介されている「リチウム-空気二次電池」をはじめとして、革新的な技術開発にも積極的に取り組んでいただきたいと思います。

共通基盤活動においては、環境コンプライアンス、EMS、人材育成、環境社会貢献活動など、いずれの分野でも、グローバルな環境マネジメントの推進を強く意識した内容となっています。特に、廃棄物削減のグローバルな横展開、化学物質管理システムである「Aisin MACS」の仕様変更、環境危険予知トレーニングなど環境意識向上のグローバルな展開、北米、欧州、アジア・その他の各拠点における環境マネジメントレベルの向上などの取り組みが盛り込まれていますので、グローバルな環境活動にさらに期待したいと思います。

ライフサイクルアセスメントを踏まえた製品開発

90%以上の開発対象商品について、製品の開発・設計段階で、原材料の調達プロセスから製造・使用、そして最終的な廃棄に至る製品のライフサイクルにおける環境負荷の事前評価を行い、よりCO2出負荷の少ない製品開発を行っていることも特筆すべきことです。このことにより、温暖化ガス削減の取り組みが相対的には遅れている家庭分野でのCO2 削減にも寄与することができます。

国内(アイシングループ)での売上原単位当りの廃棄物排出量が、目標を大きく上回る35%削減を達成できたことも評価できます。コラムにも掲載されている分別廃棄可能な「ファインレボマットレス」は、寝心地のよさというお客様が最も求めている性能と、パーツごとの交換を可能にして廃棄物の減量化を可能とした環境面でのパフォーマンスを両立させた製品として特筆できます。今後とも、製品の機能と環境負荷の低減を高次元で両立させた製品開発に期待したいと思います。

なお、2015 年度レポートに記載されていた海外拠点における廃棄物の明確化の取組結果が、2016年度レポートにはまだ記載されていませんが、今後、グローバルに廃棄物の削減にむけた取り組みが加速化していくことを期待しています。

生物多様性への貢献が深化

VOC排出量の削減に関しては、2007 年度比31%削減の目標に対して60%削減を達成し、大きな成果を上げています。また、従業員による自然生態系の保全・再生プロジェクトへの参加が、北陸から九州へと拡大するとともに、富山ではビオトープと農園のある公園工場づくりが始まるなど、生物多様性の保全に対する貢献が深化してきたことも評価できます。

環境コミュニケーション活動の進展

従業員を対象として開催されたアイシングループ環境シンポジウムに加え、四日市や川越での子どもたちを対象にした学習活動や、豊田などでのエコトークセッションの継続開催などを通じて、地域との環境コミュニケーションの輪が広がっています。

おわりに

今年度は、第三者意見を作成する際に、アイシン精機㈱ 新豊工場の取り組みについて現場でお話を伺いしました。「ナオス・トメル・サゲル」をキーワードに、配管におけるエア漏れの撲滅、負荷に応じた中圧コンプレッサーの台数制御、スイッチ類の手元化による安全性向上など、現場が主体となった経験と知恵に基づく取り組みが展開されていました。これらの取り組みは、省エネルギーの推進に大きく役立つとともに、現場の従業員の環境意識や責任感、参画意識の向上にも大きく役立っていることがわかりました。
今後とも、現場からの提案に基づく地道な活動を大切にしつつ、2050年に向かっての大きな進化を続けていただきたいと思います。

学校法人日本福祉大学
執行役員 兼 教授
千頭 聡