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環境的側面特集

「分散型エネルギーシステム」の開発 「省エネルギーで快適な暮らし」の 実現に向けて

アイシン精機は環境問題に早くから向き合い、環境と調和する暮らしの実現を目指してエネルギー事業を推進してきました。省電力で経済性・環境性に優れたガスヒートポンプエアコン(GHP)や、分散型エネルギーシステムの一つであるコージェネレーションシステムなどを開発・提供することで、「省エネルギーで快適な暮らし」に対する社会のニーズに応えています。

アイシン精機のエネルギー関連機器開発の歩み

図:アイシン精機のエネルギー関連機器開発の歩み

業務用ガスヒートポンプエアコン

夏場の電力不足解消に向けて開発に着手

近年、ますます深刻化する地球温暖化を背景に、CO2排出量の抑制につながる省エネルギー機器への注目が高まっています。アイシン精機は、1980年代初頭から、ガスエンジンを使用し、省エネルギー・CO2排出量削減を可能とする業務用空調機器の開発に取り組んできました。

背景にあったのは、2011年の今まさに日本社会が直面している状況と同じ、「夏場の電力不足」という課題です。第一次オイルショックから立ち直り、戦後最大の不況から本格的な回復を遂げた1970年代後半、記録的な猛暑によって家庭用エアコンの年間販売台数が300万台を突破。急騰した夏場の電力需要に対して、供給余力が底をつくという非常事態が発生しました。

これを機に、ガスを使用した冷房技術の研究・開発が国の「重要技術補助事業」に指定されることになり、当時スターリングエンジンの技術開発を進めていたアイシン精機は、そのエンジン技術を活かし、ガス会社と共同で業務用ガスヒートポンプエアコン(GHP)の開発に着手。1987年、7.5馬力クラスのGHPを発売し、市場に参入しました。

以来、社会のニーズに合わせて、高効率、小型・軽量化を目指した商品開発を進めています。2台の室外ユニットを連結する「まとマルチ」、発電機を搭載した「ハイパワーマルチ」など、さまざまなGHPを累計14万台販売し、多くの学校やオフィス、店舗などで使用されています。最新のEシリーズは、ガスエンジン、コンプレッサー、熱交換器などの主要部品を最適設計することで、さらなる高効率を実現するとともに、非常用エレベーターでの搬入が可能な小型タイプも品揃えしています。

スターリングエンジン:密閉したシリンダーの外側から熱(高温・低温)を加え、空気の膨張・収縮(圧力変化)を利用してピストンを動かすエンジン。

図:ビルの屋上に設置されたGHP

GHPによる電力消費量・CO2の排出削減イメージ

図:GHPによる電力消費量・CO2の排出削減イメージ

業務用ガスコージェネレーションシステム

電気と熱を使う場所でつくる「分散型」のエネルギーシステム

アイシン精機では、ガスを燃料とし、環境負荷低減に貢献するエネルギー機器として、GHPだけでなく、ガスエンジンで発電し、その際に発生した熱を給湯や暖房に活用するガスコージェネレーションシステムも提供しています。これは、「電気」と「熱」という2種類のエネルギーを、それらが使用される場所でつくる「分散型」のエネルギーシステムの一つです。アイシン精機では、2002年にまず6kWの業務用タイプを発売しました。

大規模発電所でつくられる商用電力の場合、発電する場所と使用する場所が離れているため、発電時に発生する熱は利用することができません。発電した電力を各家庭や事業所など電気を使う場所に送る際の送電ロスも含めると、一次エネルギーの活用率は約40%となります。一方、ガスコージェネレーションシステムの場合には、発電時の熱を給湯や暖房に利用できるので、電力と熱利用を含めた総合エネルギー効率は70〜90%と、エネルギーを有効活用できるのです。

図:商業施設に設置された業務用ガスコージェネレーションシステム

分散型発電と集中発電の総合エネルギー効率比較

図:分散型発電と集中発電の総合エネルギー効率比較

家庭用ガスコージェネレーションシステム

寒冷地のライフスタイルに合わせた「コレモ」

近年では、家庭用のガスコージェネレーションシステムの開発にも注力しています。2011年5月、その第一弾となる「コレモ」を北海道ガスの供給エリアで発売しました。省エネ型給湯機「エコジョーズ」と組み合わせて使用するシステムで、「発電」「暖房」「給湯」を効率的に行います。

暖房を入れると自動的に「コレモ」のガスエンジンが作動し、家庭内で使用する電力量にあわせて最大1.5kWまでの電気を発電します。その際に発生する熱は、即時に「エコジョーズ」を介して暖房用温水の加熱に利用するので、大幅な省エネルギーと光熱費削減を実現します。

一般的に、ガスコージェネレーションシステムの発電時には電力よりも多くの熱エネルギーが生じます。したがって、総合エネルギー効率を向上させるには、発生した熱をどれだけ使い切ることができるかが鍵となります。そこで、床暖房やパネルヒーターなどによる暖房需要が高く、家庭での年間エネルギー消費の約半分を暖房が占める地域、北海道に着目しました。北海道の暮らしに合わせたシステムとして「コレモ」を開発することで、よりエネルギーを無駄なく活用していただける商品を実現できました。

「コレモ」&「エコジョーズ」は、従来のガス給湯暖房機と比べ、年間のCO2排出量を約1トン削減しています。また熱利用を暖房に特化し、発生と同時に使うことで、貯湯タンクを不要とし、省スペースを図っています。

エコジョーズは東京ガス(株)の登録商標です。

図:屋外に設置されるコレモは極寒地域でも運転に支障がないことを実証済み。
10年の耐久性を保証しています。

「コレモ」のしくみ

図:「コレモ」のしくみ

家庭用燃料電池コージェネレーションシステム

燃料電池コージェネレーションシステムの開発も推進

1990年代後半からは、次世代エネルギーとして期待が高まりつつあった「燃料電池」にも着目し、基礎技術開発を進めてきました。

燃料電池を用いたコージェネレーションシステムでは、ガスから取り出した水素と、酸素を化学反応させて電気と熱をつくるため、CO2の排出量を大幅に削減することが可能です。アイシン精機では、トヨタ自動車(株)、大阪ガス(株)、京セラ(株)と共同で家庭用の燃料電池コージェネレーションシステムを開発し、2009年から大規模実証試験に試験機を提供しつつ、2012年の商品化を目指しています。

燃料電池コージェネレーションシステムは、ガスエンジンのものに比べて発電量が多いので電力需要が高い家庭での使用に適しています。一方、ガスコージェネレーションシステムは、熱エネルギーを多く発生させるので、熱需要が高い家庭での使用に適しています。したがって、両システムを手がけるアイシン精機では、各家庭でのエネルギー需要に合わせた適切な商品の提供が可能となります。

生活スタイルに応じて選択可能

図:生活スタイルに応じて選択可能

震災後の日本社会でますます高まる省エネニーズに応えるために

この度の大震災によって、エネルギーの有効利用に対する社会のニーズは、ますます高まっています。アイシン精機は今後も、自動車技術で培った技術力と、これまでのエネルギー事業の取り組みを活かしてエネルギーの有効利用を考え、将来的には、コージェネレーションシステムを核に、家全体でのエネルギー利用の最適化を提案していきます。

「コレモ」開発者から

「100%省エネ」を実感できる商品を目指しました。

「コレモ」の開発にあたり一貫してこだわったのは、「お客様に100%満足していただけるシステムをつくること」です。「家族構成や生活スタイルにかかわらず、すべてのお客様に省エネを実感してもらうにはどうしたらよいか?」と突き詰めて考えた結果、「暖房専用」、「使う時に使う分だけを発電する」というコンセプトにたどり着き、寒冷地・北海道向けのシステムとして開発することを決めました。

試作機ができてからは、北海道で複数の一般家庭にモニターとなっていただき、実際に使用してもらいました。そこで寄せられたさまざまなご意見をもとに、一つずつ改良を重ね、システムの制御、粉雪対策など、あらゆる面で北海道の暮らしにフィットする商品を完成させることができました。モニターの方から「確かに電気代が下がった」「雪をかぶりながら一生懸命動いているコレモが愛らしい」という喜びの声をいただいたときのうれしさは忘れることができません。

今後も、さまざまな地域で、より多くのお客様に喜びを感じていただける商品の開発に取り組んでいきます。

写真:神谷  洋

アイシン精機
エネルギー技術部 コジェネグループ
神谷 洋


写真:モニター家庭に設置した試作機の台所リモコン

モニター家庭に設置した試作機の台所リモコン。
発電量やCO2の削減効果、経済効果も見ることができる。

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