2015年度事業報告

創立50周年の大きな節目となった2015年度は、グループ一丸となって着実な成果をあげることができました。

1 事業の経過とその成果

事業を取り巻く環境

2015年度の世界経済は、北米、欧州では個人消費の増加などにより景気の着実な回復が続きましたが、中国をはじめとする新興国においては、成長スピードに鈍化が見られました。国内においては、企業収益の回復や個人消費が増加するなど、景気の回復が見られました。

自動車業界については、一部の新興国で新車販売台数の減少が見られたものの、北米、欧州、中国といった大規模市場では新車販売台数が増加したほか、日本では乗用車の販売台数が増加するなど、世界全体としては堅調に推移しました。

このような状況のなか、アイシングループは「元気で持続的に成長できる会社」をめざし、グループ競争力の強化、革新的な技術開発、ものづくり力の強化など競争力強化に向けた取り組みを推進しました。

業績の振り返り

2015年度の売上高は、国内外における得意先自動車メーカーの生産台数増加により、3兆2,431億円(前年度2兆9,646億円)となりました。営業利益は、将来の成長に向けた研究開発費や減価償却費が増加したものの、原価改善など収益体質強化活動に取り組んだ結果、1,764億円(前年度1,661億円)となりました。なお、経常利益は1,868億円(前年度1,883億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は969億円(前年度775億円)となりました。

製品分野別の概況
製品分野別の概況
地域別売上高
地域別売上高

自動車部品事業

事業再編の背景と目的

アイシングループは、世界市場での着実な成長をめざし、世界各地域に拠点を構え事業を拡大してきました。その結果、連結売上高約3.2兆円の企業グループに成長してきました。

しかし、近年の自動車業界におけるパワートレインの革新、自動運転技術の進化など、次世代技術は目覚ましく進展しています。これに伴い、M&Aによる新たなメガサプライヤーの誕生、 IT企業の参入など、競争は一段と激しさを増しています。一方、市場成長が見込まれる新興国を中心に、現地サプライヤーを含めた熾烈な価格競争が繰り広げられています。

このような厳しい環境変化のなか、従来のような規模を拡大する事業の枠組みでは、今後のグローバル競争において生き残ることは難しくなってきています。アイシングループが持続的に成長を遂げていくためには、世界で戦える真の競争力を身につけ、着実に利益を出し続けることができる質の高い成長へシフトチェンジすることが必要です。こうした認識から、その最も良い方法について検討を重ねた結果、パワートレイン領域、走行安全領域、車体領域に関する事業再編を意思決定し、2014年11月から12月にかけ、関係各社と基本合意を取り交わしました。

事業再編の枠組み・進捗状況
技術開発

生活スタイルや価値観の多様化、さまざまな技術革新により、自動車部品に対するニーズは大きく様変わりしています。こうしたなか、「環境・燃費」、「安全・安心」、「快適・利便」を重点テーマとして、アイシングループが保有する幅広いリソーセスを活用し新技術の開発を推進しました。

営業活動

海外自動車メーカーへの拡販活動を強化

豊富な商品ラインナップと高品質を強みに、欧州や新興国の自動車メーカーへの拡販を進めました。欧州では、BMW社からは前年度に引き続き、FF用8速オートマチックトランスミッションが新規の車種に採用されたほか、ダイムラ一社からは、ブレーキキャリパーが採用され、取引を開始しました。新興国においては、インドのマヒンドラ・マヒンドラ社に、FF用6速オートマチックトランスミッションやサンルーフが採用されました。

生産体制の強化

オートマチックトランスミツシヨンの生産体制を強化

今後需要の拡大が見込まれるオートマチックトランスミッション事業については、グループをあげて効率的な生産体制の整備を進めました。

開発・生産の主体であるアイシン・エィ・ダブリュの生産能力の増強を進めたほか、アイシン・エーアイではマニュアルトランスミッションの生産で培った技術を活用し、オートマチックトランスミッション部品の生産を開始するなど、今後の販売増に向けてグループ全体のリソーセスを有効に活用することで、迅速かつ効率的に供給体制の整備を進めました。

グローバルな生産体制を強化

グローバルに拡大する需要に対応するため、グループ各社において生産体制の強化を進めました。

アドヴィックスでは、メキシコ、ブラジル、チェコ、南アフリ力に設立した新会社が、ブレーキ部品の生産を開始しました。また、アイシン化工では、湿式摩擦材の拡販に向け、米国、中国において生産能力を増強したほか、タイで新工場建設を開始しました。さらに、アイシン高丘では、メキシコにおいてディスクローターなどの足回り部品の生産を目的とした新会社を設立したほか、アイシン精機は、ドアハンドルなどの車体部品の生産を目的に、メキシコでの新会社の設立を決定しました。

技術開発TOPICS 〈 安全・安心 〉 技術開発TOPICS〈 安全・安心 〉
技術開発TOPICS〈 快適・利便 〉 技術開発TOPICS〈 快適・利便 〉

住生活・エネルギー関連事業

「ASLEEP」ブランド認知度向上に向けた取り組み

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家庭用燃料電池「エネファームtypeS」をモデルチェンジ

材料や機器仕様を徹底的に見直し、世界最高の発電効率と世界最小の機器本体サイズ、大幅なコストダウンを実現しました。機器本体サイズを小さくしたことで、設置スペースの制約が減少したため、マンションなど集合住宅への設置が可能となりました。

家庭用燃料電池「エネファームtypeS」

2 対処すべき課題

アイシングループは、持続的な成長と企業価値の向上に向け、以下の4つの課題に取り組んでいきます。

1.グループ競争力の強化

今回の事業再編はそのスタート地点に立ったばかりです。今後は、グループ各社が方向性を共有し、各社の強みや特徴を活かしながら、世界で戦える真の競争力の確立をめざします。具体的には、今回の事業再編をベースに、事業効率向上によるコスト競争力の強化や、商品力向上による事業拡大といった成果を確実に刈り取っていきます。併せて、当社の屋台骨を支えるオートマチックトランスミッション事業の拡大に向け、グループ各社のリソーセスを最大限に活用した効率的な増産体制を構築していきます。

さらに、グループ全体最適の視点で、事業戦略の構築、リソーセスの重点配分、間接部門のスリム化など、事業とマネジメントの両面から改革に取り組んでいきます。

2.既存商品の競争力強化

厳しい環境にも耐えうる強固な収益体質をめざし、経営の根幹をなす既存商品の競争力強化に取り組みます。地域、顧客、商品の重点を定めた効率的な事業展開をはかるなかで、独自技術の追求、生産性向上・原単位の改善、量を束ねた調達など、設計・生産技術・工場・調達が一体となったものづくり改革を推進します。また、開発費、設備投資、人件費など、固定費の適正化を全社的観点から進めます。

3.次世代を見据えた新たな価値の創造

既存商品の競争力強化により経営の足元を固める一方、将来の成長力確保に向け、新たな事業の創出や魅力ある商品づくりに注力します。自動車部品事業においては、パワートレインの電動化や自動運転などの将来ニーズを先取りした次世代商品の先行開発をグループの技術・リソーセスを結集して取り組みます。また、第二の柱となる事業をめざし、エネルギー関連事業、アフターマーケット事業などの強化・拡大を進めるとともに、エンドユーザーの潜在ニーズを掘り起こす新商品・新事業の創出に挑戦していきます。

4.経営基盤の再強化

事業がグローバルに広がるなか、各地域に根づいた企業活動を通して持続的に成長していくためには、企業経営の基盤を磐石にしておくことが大前提です。そのため、災害の未然防止をはじめとする安全な職場づくり、 CO2や廃棄物の削減などの環境保全活動、コンプライアンスの徹底をこれまで以上に推進していきます。また、「品質至上」を基本に、世界各国のお客様の使われ方に即した確かな品質を提供していきます。併せて、すべての企業活動のベースとして、国籍、性別、年齢を問わず、従業員一人ひとりが創造性や自発性を発揮して活き活きと働く企業風土を醸成していきます。

これらの課題は一朝一夕で成し遂げられるものではありませんが、「好きなことをやって、いい明日をつくろう。」をスローガンに、全従業員が目標を共有し、元気で新しいことに果敢にチャレンジしていきます。そして、「真の競争力を身につけ、新たな価値を提案できる元気な会社」をめざしていきます。