2016年度は、既存事業の競争力強化を中心に経営の足元固めを進める一方、
将来の成長に向けた取り組みに着手した一年となりました。

事業を取り巻く環境

2016年度の自動車業界を取り巻く事業環境は、北米、欧州、中国といった大規模市場において、新車販売台数が増加したことにより、世界全体としては堅調に推移しました。日本国内においても、小型車を中心に新型車の販売が好調となり、前年度を上回る販売台数となりました。
このような状況のなか、アイシングループは「真の競争力を身につけ、新たな価値を提案できる元気な会社」をめざし、グループ競争力の強化、革新的な技術開発、ものづくり力の強化など競争力強化に向けた取り組みを推進しました。

業績の振り返り

2016年度の業績については、オートマチックトランスミッションや車体部品の販売が世界的に好調であったことや、シロキ工業を完全子会社化したことなどにより、3兆5,626億円と過去最高の売上収益となりました。また、営業利益については、熊本地震に伴う復旧費用や為替差損など減益要因があったものの、売上増、原価改善など収益体質強化活動の成果や、シロキ工業の株式交換差益などにより、2,286億円と過去最高益となりました。なお、税引前利益は2,373億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,266億円といずれも過去最高益となりました。
2017年度については、売上収益は3兆6,700億円、営業利益は2,300億円を目標に取り組んでいきます。

熊本地震の被災状況と復興ヘの取り組み

2016年4月に発生した熊本地震では、グループ会社のアイシン九州株式会社において大きな被害を被ったことにより、一時、お客様の生産を停止させるなど、株主様をはじめ関係者の皆様には多大なるご心配とご迷惑をおかけいたしました。
早期の供給再開に向け、アイシングループ各社、得意先様、仕入先様のほか、普段当社とお取引のない企業にもご協力いただき、九州7ヵ所、愛知県7ヵ所にアイシン九州の設備や金型などを移設し、そこにアイシン九州の従業員345名が出向して生産活動を行うという、大規模な代替生産を行いました。その間、アイシン九州では急ピッチで復旧工事を進め、8月第2週に完了。その後、代替生産先より順次生産設備を戻し、地震発生から約4ヵ月後の8月22日、アイシン九州で生産再開を宣言することができました。

4月16日
4月16日

アイシン九州の被災直後の様子

4月23日~
4月23日~

トヨタ紡織九州株式会社での代替生産の様子

8月22日
8月22日

復旧が完了した工場内で、アイシン九州の髙橋社長が「アイシン九州生産開始」を宣言

10月16日
10月16日

震災からの復旧を記念して「復興祭」を開催

自動車部品事業

技術開発

生活スタイルや価値観の多様化、さまざまな技術革新により、自動車部品に対するニーズは大きく様変わりしています。そうしたなか、「環境・燃費」「安全・安心」「快適・利便」を重点テーマとして、アイシングループが保有する幅広いリソーセスを活用して新技術の開発を推進しています。
今年度はトヨタ自動車より発売された高級スポーツ車「LEXUS LC500、LC500h」に、アイシングループのさまざまな商品が採用されました。

営業活動

アイシングループでは豊富な商品ラインナップと高品質を強みに、トヨタ自動車グループ外への拡販活動を強化しています。欧州や中国など海外のメーカーを中心に年々取引を拡大させ、現在売上の39.9%を占める経営の柱へ成長しました。今後も、魅力ある商品の開発と拡販活動を通じ、取引の拡大を進めていきます。

広州汽車 GA8
広州汽車 GA8

当期は中国 広州汽車の新型セダン「GA8」にさまざまなパワートレイン商品が採用されました。

採用された商品については、
「TOPICS 搭載商品」をご覧ください。

住生活・エネルギー関連事業

エアウィーヴ社との販売提携を決定

アイシン精機のベッド寝装具ブランド「ASLEEP」は、エアウィーヴとの販売提携を決定しました。今後は、店頭での販売協力、共同キャンペーンなどに取り組み、高機能マットレスの市場拡大を進めることで、ASLEEPベッドの販売機会を増やしていくとともに、両社の素材を活かした新商品開発に取り組んでいきます。

ASLEEP/airweave

家庭用燃料電池コージェネレーションシステム
「エネファームtype S」が省エネ大賞を受賞

エネルギー関連においては、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネフアームtype S」が、世界最高の発電効率と世界最小のサイズを評価され、一般財団法人省エネルギーセンター主催の「平成28年度省エネ大賞」において、「資源エネルギー庁長官賞」を受賞しました。

エネファームtype S
エネファームtype S

ユニットの大幅な小型化により、狭いスペースでの設置が可能となりました。

搭載商品

トヨタ自動車 LEXUS LC500、LC500h

パワートレイン事業

FR10速オートマチックトランスミッション

10速化と世界最速レベルの変速により、リズミカルで気持ちの良い走り、アクセル操作にダイレクトに応答する走りを実現しています。

FR10速オートマチックトランスミッション

構成部品の小型化により8速のスペースに10速の機構を配置

FRマルチステージハイブリッドトランスミッション

ハイブリッド車用2モータートランスミッションにマルチステージ用自動変速機構を組み合わせることにより、圧倒的な加速力と高速走行時の低燃費を実現しています。

FRマルチステージハイブリッドトランスミッション

走行安全事業

アルミ対向型6ポットキャリパ

6ポット化によるこれまでを上回る制動力で、車両走行性能のさらなる向上に貢献するとともに、レクサスフラグシップクーペにふさわしい、デザイン性に優れた高性能キャリパです。

キャリパの左右に3つずつ、計6つ配置したブレーキピストン(ポット)がディスクローターを強力に挟み込み高い制動力を実現

アクティブリアステアリング

後輪を電子制御で操舵し、高速域での車両安定性向上と低速域での小回り性向上に貢献します。

車体事業

アクティブリアウィング

車速に応じて自動的に展開・格納されるリアウィングです。通常運転時には格納され運転者の後方視界を確保し、高速走行時には展開し、ダウンフォースを高め、車両の操縦安定性向上に貢献します。

ポップアップドアハンドル

走行時は車体内部に格納されますが、ドアを開錠時には、ドアハンドルが電動でポップアップし、ドアを開けることができます。車体側面のフラッシュサーフェス化により車両運動性能向上や車両側面の意匠性向上に貢献します。

広州汽車 GA8

エンジンフロントモジュール
エンジンフロント
モジュール
エンジンサイドモジュール
エンジンサイド
モジュール
FF6速オートマチックトランスミッション
FF6速オートマチック
トランスミッション

次世代成長領域の開発強化

アイシングループは、これまでパワートレインから走行安全、車体部品と幅広い商品群を持ち、グループ各社が専門技術を磨いてきました。こうして育ててきたコア技術をベースにこれからのクルマ社会に貢献する新たな技術開発を進めるため、「ゼロエミッション」「自動運転」「コネクティッド」の3分野を、グループで取り組むべき次世代開発の核となる技術開発領域と定め、6つのワーキンググループによる開発活動をスタートしました。グループが持つ開発リソーセスを集中的に投入し、新たなライフスタイルを先取った商品開発をスピーディに進めていきます。

ゼロエミッション

電動化

2025年の燃費規制強化への対応をねらいに、2モーターハイブリッドトランスミッションや電動式4WDユニットの電動化技術を進化させ、1モーターハイブリッドトランスミッションやEV・FCV用のパワートレインユニット、それらのコア技術となるモーター、インバーターの開発を強化します。

EV・FCV対応

トヨタ自動車がめざす「もっといいEVづくり」に向け、アイシングループ内に「EVベンチャープロジェクト」を新設し、さらなる連携強化を図ります。また、パワートレインをはじめ、車体商品やシャシー、電子の各領域など、車両全体の視点から新たなサービスを提案します。

自動運転

車両運動統合制御

自動運転や運転支援において、パワートレインやステアリング、ブレーキなど「走る・曲がる・止まる」といった車両の挙動に関わる個々のアクチュエーターを統合的に制御することで、安心・安全で上質な乗り心地を実現します。

自動バレー駐車

レストランやホテルの入口でクルマを降りると、クルマが自動で駐車スペースに移動し、帰りも玄関先まで自動で迎えに来るといったシステムの開発など、駐車支援システムや地図情報、駐車場のインフラ情報を活用した完全自動駐車を実現させることで、ドライバーを駐車の煩わしさから解放します。

コネクティッド

おもてなしサービス

クルマに乗った人だけでなく、これから乗り込もうとする人の行動や環境シーンを理解する仕組みを構築し、パワースライドドアやシートを自動で作動させるシステム商品の開発で、クルマが単なる「道具」から「賢く頼れるバディ」となるようなサービスを提案します。

位置情報活用サービス

家を出発する前に渋滞を知らせたり、前を走るクルマのカメラで事故を認識し、後方のクルマに知らせて注意喚起を行うなど、従来のカーナビゲーションシステムやVICS※を超える新たな情報サービスを提案します。

※渋滞や交通規制などの道路交通情報をリアルタイムに送信し、カーナビゲーションシスエムなどの車載機に文字・図形で表示する情報通信システム