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“イクボス塾”座談会

自分が変われば、周りが変わる。
“イクボス塾”からはじまる、アイシン精機の風土改革。

組織業績の結果を満たしつつ、部下のキャリアと人生を応援する上司(ボス)を育てることをめざした“イクボス塾”。部下の見本となるべく自らの仕事とステータスを楽しむことも目的のひとつ。その参加者たちが、アイシン精機のダイバーシティと、それぞれの意識の変化について語ります。

“イクボス塾”とは

男性・女性関係なく、個々のライフイベントを考慮し、会社制度を活用したいときに活用できる風土づくりを進めるうえでのキーパーソンとなるのが上司(イクボス)である。そう考え、2015年9月、“部下のキャリアと人生を応援しながら、組織業績も出し、自らも仕事と私生活を楽しむことができるイクボス”を増やすための活動をスタート。各機能・商品本部の代表者を対象とした1年間の経験学習のなかで、好事例を全社展開していくのがこの活動のめざすところであり、活動のなかで生じる悩みや疑問に対して、他のイクボスや有識者からアドバイスを受け、アクションプランをブラッシュアップする場が“イクボス塾”である。

男女で仕事を分ける必要はない。
でも、配慮は必要

“イクボス塾”に参加する前の、女性活躍に対する考え方を教えてください。

「女性活躍」を推進していくなかで、“イクボス塾”が始まり、その定義が「部下のキャリアと人生を応援しながら、組織業績の結果も出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司」とのことで、これはちょっと無理だろと、戸惑いましたね。
私は、“イクボス”という名前から、“イクメン”みたいなものを想像していました(笑)。それが「女性活躍」を主体的にやっていくという触れ込みで。ちょうど昨年、女性の部下が昇格をめざしてチャレンジしていたので、タイミングも良かったですね。工場は女性社員が多くないので、林さんと同じように、いい活動にしていきたいという想いはありました。けれど、女性だけではなく「自分たちの働き甲斐も含めて」という内容の研修だったので、これは、考え方を180度変えなければいけないなと思いましたね。実際、以前とは随分考え方が変わってきました。
私の部門は、技術部間に横串を通すグループで、技術部のなかでも最も女性が多い部署です。そもそも私は、“女性のキャリア”を特別に扱うことを完全否定する考えを持っていました。
男性・女性を区別せずに、どちらも全く同じように扱うだけではいけないのか、という考え方ですね。でも、“イクボス塾”に参加してすぐに、決定的に考え方が変わるきっかけがあったんです。研修で知った“キャリアプランの作成”を女性陣にやってみてもらったところ、28~38歳までの10年間で、出産・育児でフルに働けない期間が、短くて5年、長い人で10年もあるんですね。当たり前のことなのに、年表にしてみて初めて痛感しました。
仕事を覚えて脂も載ってきて、昇格も見えてくる時期の、長期間のハンディですからね。例えば、30歳くらいで結婚して、33で第一子、37で第二子と考えると10年ですよね。
ええ、すると「じゃあ私は2年連続で産まないと」という考えになる。男性も育児を手伝えばいいという考え方もありますが、一足飛びにそこまで移行するのは難しいし、アイシン精機での事例も、まだ多いとは言えない。それに出産をするのは女性なので、数か月は働けませんよね。すると、絶対的に女性のほうが不利だなと気づいたんです。だから、こういう活動が必要なんだなと思いましたね。もともとは、男性と女性を分けて仕事を与えるからいけないんだという持論がありましたが、ちょっと違うなと思いました。仕事を分ける必要はないが、配慮は必要。そういうことに気付かせてもらえたのがこの活動です。

理解しあえる環境をつくるため、自己開示から始める

“イクボス塾”で学んだことを、各部門でどのような活動に活かしていますか。

私の部門は女性が少なくて、部でも数名しかいません。その上、男性の年齢層が高く、意識のギャップが激しいという環境もあります。ベテランは自分たちのペースでやっていっても残り数年だからという思いもあるし、でも若い人たちは成長したいと思っていて貪欲なんですよ。そのアンマッチ感をずっと感じていました。“イクボス塾”に参加したことをきっかけに、一部のメンバーに「何とかしたいと思っている」と伝えたところ、すごく共感してくれる人が現れて、「一緒にやろう」と言ってくれました。50代なので、世代的には、「残業してナンボ」で生きてきた方ですが、ワークライフバランスに対して理解があって、「みんなで足らない部分を補い合えるように業務の平準化をしよう」と、二人三脚で、業務の棚卸をしていきました。すると、部下だけでなく私も早く帰れるな、ということに気付かせてくれたんですね。私は個人的に、365日、公私ともどもストレスフリーな自分にしたいというテーマを掲げていましたから、モチベーションが上がりましたね。
周囲の人たちも徐々に理解してくれて、「全体でバランスを取れるようにしようよ」とか「課長さんたち、いつも遅いよね。もっと下に業務を下してくれていいですよ」と言ってくれるようになりました。
うちは半分以上女性なんだけれども、既婚者、子どものいる人、若手といろんな条件で働いていて、基本的に皆さん、それぞれの条件のなかで頑張ろうとしてくれています。そのなかで悩むのは、一人ひとり、どこまで仕事を任せていいのかということです。昔のおじさんたちのように徹夜してまで、というわけにはいきません。でも、我々には夜中までやりきってそれが成功したとか、そういうことの積み重ねが今の自分たちの糧になっていると思っている部分もありますよね。ひとむかし前の考え方で、「時間は1日24時間あるんだから」といって、仕事も家事も「頑張るのがあたりまえ」と突き放してしまうこともできない。実際、家事をして、子育てや介護をして、仕事もして、というのはやっぱり大変です。でも仕事を頑張らないと、将来に差がついてしまう。そこは、今でもよくわからないし、…どうしたらいいですかね(笑)。
時間で考えると難しいですよね。事情はそれぞれあるんだから、理解して協力しあうことが大切なんじゃないですかね。
そういう意味では、私がやっているのは、一人ひとりのことをよく知ろうということかな。私の部門はいろいろなところから人が集まってきている部署なので、その人がどんなキャリアを積んできたとか、どんな家庭環境なのかということを、お互いによく知らない。実は、家族が入院したことがあるのですが、以前なら、上司にしか言わなかったけれど、今回はメンバーにも状況を知ってもらったほうがいいだろうと思って、事情を説明し、「2週間ほど早く帰るけどごめんね」とみんなに伝えました。互いに配慮するためには、事情を知ってもらうことが必須ですからね。
私は工場勤務なので、女性は少ないですが、それでも最近は増えてきましたね。それで、実際に見えてきた課題があります。「育ってきたな」と思っていた矢先に結婚や産休となり、「今からなのに」と思う場面によく直面するようになったのです。だからこそ、何とかしないといけないんですね。今までの面談だと、パワハラだのセクハラだのセンシティブな問題もあって、プライベートの話には踏み込みにくかった。でも将来を見据えたキャリアプランをつくるとなると、ライフイベントも踏まえて話ができる。この変化は大きいですね。それでも、女性には言いにくいこともあると思うので、まずは自分の情報を開示するようにしていますね。だから、私もつくりましたよ。自分のライフプラン・キャリアプランを。私も5年くらい前に母親が倒れたことがあり、介護をしていたので、そういうことを含め、定年まで10年くらいですけど、「こういうことをやりたい」とか、「定年したら、こんなことをやってみたい」など、夢も話しました。すると女性たちも自分のことを話してくれるようになるんですね。「やっぱり結婚したいですね」とか「年齢的にも子供が欲しいですね」とか。そうすると、私が漠然と考えていた育成プランとギャップが出てくるんですね。彼女の考えるライフプランと重ね合わせると、どうしても無理がある。では、どうやってモチベーションを持ちながら継続的にチャレンジしていこうということを、一緒になって考えています。例えば、育休を取りながらでも、在宅勤務なら負担にならない範囲でブランクを最小限にできるとかね。もうすぐ育休を終えて戻ってくる女性たちもいるので、テスト的に在宅勤務を経験してもらおうかという話も出ています。男性と全く同じ仕事は無理としても、何もしなかったら3年~4年のギャップが出るところを、少しでも軽減できるといいかな、と思っています。
自己開示については、私も大事だなと思ってやってみました。先ほども言ったように、ウチはいろんなところから人が集まった部門です。技術部だと新入社員が入ってきて、そこからずっと一緒に育っていくことが多いですよね。それと比べ、お互いどんな人かわからないことが多いんです。やっているのは、プライベートも含めた経歴などの自己紹介。これを取り入れることで、「あの人ならこの課題を解決できるかも」ということがわかってくるんです。私自身も、何ができていて、何が足りないのかがわからないので、まず自分を題材にして、「私に対する要望と、至らない点を指摘してほしい」と伝えました。ただ、少し怖かったので「ぼくは褒められて伸びる人間なので、必ず褒めてくれ」と付け加えて(笑)。
どんなこと言われたんですか?
ため息が多いって。早速、貯金箱を置いて「ため息貯金」を始めました。それから、話しかけないでというオーラを出しているとか、あいさつに元気がないとか。あとは、報告を受ける際、「これはダメだな」という雰囲気が出ていると、報告しづらいというのもわかりましたね。まずは自分が題材になりましたが、みんなもリーダーになっていくので、そのときに参考にしてもらえるんじゃないかな。

変わり始めた意識と、より一層の推進

“イクボス塾”に参加して、見えてきた課題はありますか?

女性に限った話でいうと、まだ女性たち自身が積極的ではない部分がありますね。人によって温度差がある。まだ始まったばかりなのでこれからかもしれませんが、女性側も、活躍できる環境にするために、自分たちが頑張って変えていこうという人と、これまで通り、任される範囲で頑張りたいという人もいる。積極派と消極派の間で、どちらに行っていいかわからない人たちもいて、それぞれが3分の1ずつくらいですね。
それでも、部内で活動をするにあたり、女性たちに「何かやりたいことないですか」と投げたんですね。「女性特有の困りごとがあれば教えてください」と。すると、産休の経験者たちから、「復職するときにメンバーが変わっていそうだし、休暇前と同じ仕事をさせてもらえるのかが不安だった」という意見が出てきました。だから、不安解消のために、産休中の社員とそのお子さんに、自分のいたフロアに来てもらって、1時間くらい談笑してもらう機会がつくれないかと。セキュリティの問題などがあるけれど、業務時間中にそれができないかと人事と相談して企画を進めています。女性たちに聞いてみたら、ぜひやりたいと言っていたので実現したいですね。
不安解消のために、いい取り組みですね。
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もう一つあって、時短勤務中は残業ができないので、時間内に仕事をやりきらなければいけないのがものすごくプレッシャーだと言っていました。「一人でやろうとするから大変なのでは。業務シェアをしましょう」と言ったら、すごく賛同してくれましたね。ところがアイシン精機には、それがやりにくい風土もあります。「任せる文化」があるために、担当する人が自分なりの工夫を重ねて、自分のものにしてしまって、代わりが利かないんです。ではどうやったら業務シェアできるだろうね、と話し合って、作業マニュアルをつくろうということになったんです。それがあれば復職してきたときもマニュアルを見ればいいから一石二鳥だね、と。若手たちは、これから自分が産休を経験するので、ものすごく一生懸命やってくれています。女性社員たちのそれぞれの業務を箇条書きにして、類似項目に層別していくと60~70種類くらいの業務があったのですが、そこからはいつもやっているQC(工夫・改善)の世界ですよ。2~3人以上の人ができる業務シェア率というものを出して、シェア率を何パーセント以上にしましょうという目標まで立てました。マニュアルづくりもものすごい勢いでやってくれています。それがまた、ものすごく出来がいいんですよ。
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それはすごいな!
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課題といえば、社内の理解が進むのも時間がかかりますね。早く帰ろうとしても、昔の世代の人だと…、我々もそうでしたけど「本当に帰れるんか?」と、ついつい言ってしまう。やろうと思えば仕事はいくらでもあるわけで、でも「今日の分は終わりました」と区切りをつけなければいけない。それでも、“イクボス塾”などの活動の効果もあって、感覚的には、社内の理解も深まってきたと感じています。いつまでも昔のような働き方でなく、今の時代に合った新しい働き方を理解しようという空気感も増してきているようです。
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こういう取り組みは、制度が整っていても活用できる風土がないと成立しないですからね。そういう意味で「アイシン精機らしさ」ということについて、皆さんはどう捉えています?
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私が思っているのは、「ボトムアップの会社」だということですね。当然、経営層から降りてくる方針展開というのはありますが、メンバーが考えて上に上げていって、お金と人がついてくるという文化が根底にある。 それから、全然、別の話ですが、障がい者の対応をすごくきっちりやっているのも特徴ですね。敷地内のどこにも段差がないし、どこにでも行けるようになっている。私は、施設の建設をやってきたので、そうした部分への経営層の意向が強い会社だと思います。
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介護事業もやっているしね。
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社会の動きに敏感なところはありますね。在宅勤務だとか女性活躍にいち早く取り組むのも、そうした文化が背景にあると思う。女性活躍も、今後は「楽しい」という要素があると、続いていくんじゃないですかね。というのも、西尾機関工場の事例で、女性メンバーで企画した運動会に、例年をはるかに上回る1000人くらい参加したという取り組みがあって。すごく楽しそうにやっていることが伝わってくるし、成果も出ている。私は、「新しい働き方をつくっていかなければ」という使命感でやっているところがあるけれど、そういう楽しい要素が、今後は必要かもしれませんね。

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