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トップ対談

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アート金属工業 取締役社長 石原 光章×アイシン精機 取締役社長 伊原 保守

世界市場でトップに立つための、シナジー効果を求めて

軽量化、排出ガスのクリーン化、そして低燃費化という自動車に求められている機能・性能を実現するためには、一つひとつの部品だけでなく、総合的な視点での技術開発が必要です。また、世界のトップブランドとして市場を席巻していくためには、事業スケール、開発・生産拠点、人的リソースなど、整えるべき課題が数多く存在しています。これらを単独で解決するのではなく、シナジー効果が確実に見込めるのなら、例えライバル企業であっても手を結ぶ。そんなダイナミックな発想によって実現したのがアイシン精機とピストンの専門メーカーとして創業100周年を迎えたアート金属工場の経営統合です。

アート金属工業株式会社
アート金属工業株式会社
■設立 : 1945年12月(創業1917年)
■資本金 : 23億9700万円
■売上高 : 244億4100万円
■従業員数 : 917人
■事業内容 : 各種内燃機関用ピストン・ピストンピンの製造

(2017年3月31日現在)

高い技術と確かな品質、
あらゆる要求に応える会社

— お互いの印象は? —

伊原

2017年4月1日、アイシン精機(以下 アイシン)とアート金属工業(以下 アート)は経営統合し、新たな歩みをスタートさせました。経営統合にあたって、私はアートの本社はもちろん、子会社、さらにはタイやインドネシアなどの海外拠点に足を運び、アートの強みは、モノづくりが大変上手な企業であるということを実感しました。数年前、インドのある企業によるピストンのコンペがあり、アートから提案されたものを拝見する機会があったのですが、その方案設計、並びに鋳造品質が素晴らしかったのも、開発・生産現場を見たことで納得できました。また、資産を活かしながら上手にモノづくりをしている企業であるという認識も改めて持ちました。大変古い設備を上手に使って、コスト競争力を向上させていたタイの状況はその好例です。さらに、ガソリン用だけでなく、ディーゼルや二輪車用のピストンも製造するなど、多種少量生産の強さも感じています

石原

私がアイシンに持つ最も強い印象は、グループを挙げて品質第一を追求していることです。また、新たな商品はもちろん、ヒートマネジメントシステムの構築といったような技術の創出にも取り組むなど、チャレンジ意欲の高さも感じています。ピストンに絞ってみても高速加工技術など、非常に高度な加工技術を常に研鑽しており、アートが学ぶべき点は多いと思っています。

伊原社長(アイシン精機)

両社の強みを活かす

— なぜ経営統合するのか? —

伊原

経営統合はアイシンからの提案によるものだったのですが、その背景にあるのは競争力の強化です。具体的に見ていくと、まず第1に量的規模の課題が挙げられます。世界全体のマーケットが現在2,200億円※程度で、そのうちシェアトップの企業が約580億円※を占めています。しかし、アイシンとアートを合わせても約380億円。これでは世界市場をリードすることはできません。(※当社調べ)
第2は商品構成における課題です。アイシンは数多くの商品を提供していますが、ピストンの比率は低く、トヨタ向けのガソリン自動車用のみ。一方、アートはガソリン用、ディーゼル用、二輪車用などピストンの種類は多いのですが、エンジン本体のコンロッドやウォーターポンプ、オイルポンプといった周辺商品の取り扱いはありません。世界に目を向けると、企業の統合などによりピストンだけではなく燃焼機関全体にわたって商品開発・生産を行う傾向が見られるため、こうした状況に対応することが必要でした。
第3はグローバル展開の強化です。世界の主要メーカーは世界中に拠点を持っています。ところが、アイシンは日本とアメリカのみ、アートはタイとインドネシア、そして中国のみ。現状ではヨーロッパは空白になってしまい、全世界をカバーしきれません。この事実は、これからを見据えると非常に大きな課題となってきます。
さらに、第4として開発体制の改善が挙げられます。現在、トヨタと協働しながら開発に従事している人材はアートが約70人、アイシンが約15人、両社合わせても約85人しかいません。しかし、世界の主要メーカーは、150から200人規模の人材を開発部門に揃えています。この違いは、商品開発、技術開発両面から見ても、将来的に大きな差となることが懸念されます。
以上のように、規模、商品の幅、グローバル展開、そして開発体制のリソースを俯瞰すると、やはりばらばらでは世界で戦うことはできません。そのため、アイシンとアートがいっしょになることが必要と考えたのです。