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NAIAS 2017 REPORT ※The North American International Auto Show NAIAS 2017 REPORT ※The North American International Auto Show
NAIASとは
デトロイト3の本拠デトロイトで開催される年頭恒例の自動車ショー

デトロイト3(フォード、GM、クライスラー(現FCA))が本拠を置く米国ミシガン州デトロイト市で、年頭恒例の「北米国際自動車ショー(North American International Auto Show)」(通称:NAIAS(デトロイトモーターショー)/開催期間:2017年1月9日~22日)が今年も開幕した。このモーターショーは世界各国の自動車メーカーが集い、最新モデルをワールドプレミア(世界初披露)する場として注目されており、今年も20以上の新型車やコンセプトカーなどが発表された。また1月9〜10日のプレスデーに行われた各社のプレゼンテーションにはフォードのビルフォード会長にマークフィールズCEO、ダイムラーAGのディーターツェッチェ会長をはじめ、トヨタの豊田章男社長、日産のカルロスゴーン社長、ホンダの八郷隆弘社長などが登壇し、アメリカ市場がいかに重要であるかを感じさせるものだった。さらに今年から急速に進化する自動運転、コネクテッドカー、アーバンモビリティなどに関して、自動車メーカーをはじめ、サプライヤー、スタートアップなど100社以上の企業が最新技術を発表する場として「Automobili-D」が新設された。これは企業間はもとより、産官学連携によって次世代のモビリティの創出を目的とした新たな試みだ。

  • 会場の cobo center
  • ホール内展示の様子
  • 会場横のデトロイト川、この時期の気温は氷点下に
  • 会場からGMが本社を置くルネサンス・センターを臨む
  • ホール入口

10速ATをはじめとする
新開発の3つのトランスミッションを世界初披露

昨年に続き今年もアイシングループ6社(アイシン精機、アイシン高丘、アイシン化工、アイシン・エィ・ダブリュ、アイシン・エーアイ、アドヴィックス)は、デトロイトモーターショーに共同出展を行っている。今年もっとも注目を集めたのが、新開発の3つのトランスミッションだ。

FR10速オートマチック
トランスミッション

FR10速オートマチックトランスミッション
FR10速オートマチックトランスミッション

1つ目は「FR10速オートマチックトランスミッション」。これは従来の8速から10速に段数を増しながら、サイズ、重量を抑えたフラッグシップカー用の最新モデルだ。プレミアムカーにふさわしいスムースかつ世界最速レベルのクイックな変速スピードにより、リズミカルで気持ち良い走りを実現するという。

マルチステージTHSⅡ用
トランスミッション

マルチステージTHSⅡ用トランスミッション
マルチステージTHSⅡ用トランスミッション

2つ目の「マルチステージTHSⅡ用トランスミッション」は、2モーターを搭載するプレミアムなハイブリッドカー用に搭載されるもので、従来のTHS IIにステップATをインテグレートすることで従来品とは一線を画す。EV走行領域を拡大する一方で、エンジンの効率の良い領域を使い、さらには、低車速時からエンジン最大出力を引き出すことで、圧倒的な加速力と高速走行時の低燃費を両立する。

FF8速オートマチック
トランスミッション

FF8速オートマチックトランスミッション
FF8速オートマチックトランスミッション

3つ目が「FF8速オートマチックトランスミッション」だ。ガソリンエンジンに組み合わせられるこのトランスミッションは多段化、ロックアップ領域の拡大により世界トップレベルの伝達効率を達成、ドライバーの意のままに反応する走りを実現するという。

これら新型トランスミッションへの注目度は高く、プレスデーにはミシガン州の州知事リック・スナイダー氏もアイシングループのブースを見学に訪れていた。またプレスカンファレンスにも多くの報道陣が参列し、カンファレンス後にはアイシン精機の伊原社長をはじめ、アイシン・エィ・ダブリュの川本社長らが報道陣に囲まれ、最新の10速ATや近未来の1モーターハイブリッド用トランスミッションに関することなど、矢継ぎ早に質問を浴びせられる一幕もあった。

アイシンブースの様子 活気に溢れるAISIN GROUPブースの様子

さらにアイシングループブースには北米市場でも注目の集まる自動運転に寄与する、「ドライバーモニターシステム」「周辺監視システム」などのセンシング技術に関する製品や、「アクティブリアステアリング」や「高機能ESCモジュレーター」など車両運動統合制御を行う製品を展示。また、これらを連携してドライバーの異常時には車両を自動で路肩に退避させる「ドライバー異常時対応システム」をシミュレーターを使って紹介。これ以外にも軽量化や形状最適化によって快適性、利便性が向上する車体関連製品や2025年までに30%もの燃費向上を目指すパワートレインの効率化、熱マネジメントの方向性などについても具体的な展示を行っていた。

  • アイシンブース受付
  • ドライブトレイン展示コーナー
  • ILY-Ai
  • 熱マネジメント展示コーナー
  • 自動運転展示コーナー
  • アイシングループの総合力を示すデモカー

SPECIAL COLUMN NO.01 SPECIAL COLUMN NO.01

1人乗りの電動小型
モビリティ「ILY-Ai」を発表

イノベーションセンター 企画・開発グループモビリティチーム 細井広康氏
  • イノベーションセンター 企画・開発グループモビリティチーム 細井広康氏
  • AutoMobill-D 会場の様子
  • デモブースの様子

アイシングループではデトロイトモーターショーと同時に、新設された「Automobili-D」にもブースを出展。近未来のパーソナルモビリティの提案としてビークル、キックボード、カート、キャリーの4つの形態に変形する1人乗りの電動小型モビリティ「ILY-Ai(アイリーエーアイ)」のデモ展示を行った。「ILY-Ai」は2015年に発表された第1世代の「ILY-A」が第3世代へと進化を遂げたモデルだ。

ILY-Aiプレゼンテーションの様子&ジャーナリスト藤野が乗ってみた!

「このILY-Aiは、従来型より変形のしやすさを追求したことに加えて、自動停止するだけでなく、オーナーに追従したり、元の場所に戻り自動で充電するといった知能化の部分をより進化させました。このようなパーソナルモビリティが増えるにつれ事故も増加する傾向にあります。そうした状況下において事故を未然に防ぐ肝となるのは知能化であり、その点においてはわれわれに競合優位性があると自負しています」と開発者であるイノベーションセンター企画・開発グループモビリティチームの細井広康氏は語る。筆者も特別に試乗させてもらったが、従来モデルでは十字のジョイスティックタイプだった操作系が、より広い世代に親和性の高いスクーターのようなアクセルとハンドルのタイプに変更されており、3輪という小回りの良さも手伝って、便利なだけでなくスムースかつ意のままに移動できる楽しさを兼ね備えた乗り物として仕上がっていると感じた(動画も掲載されているので参照のこと)。「日本で使うために法規制の改正などまだ課題もありますが、今後は実証実験を重ねて、ラストワンマイルの乗り物として普及させていきたいと思っています」と細井氏は話していたが、新たなパーソナルモビリティとして1日も早い実現化を期待したい。

  • AutoMobill-D 会場の様子
  • デモブースの様子

社長プレスカンファレンス

プレスデー3日目の1月10日、11時45分よりアイシングループのプレスカンファレンスが実施され、アイシン精機の伊原保守社長が登壇した。ここでは先述した3つの新しいトランスミッションを紹介したのち、アイシングループとしての将来について言及。「ゼロエミッション」「自動運転」「コネクテッド」の3分野を次世代開発の核となる技術開発領域と定め、今後グループ全体の開発リソーセスを集中的に投入していくと話した。またすでに会社の壁を超えてのワーキンググループを形成し、次世代の開発をスタートさせており、グループとして目指すべき姿を「The next frontier in mobility.」であると力強く語った。

  • 新開発の3つのトランスミッションを世界初披露
  • グループの次世代開発の核となる3分野、「ゼロエミッション」「自動運転」「コネクテッド」
  • John Clark
    President.N.A Sales Division
    AISIN WORLD CORP.OF AMERICA
  • プレスカンファレンス終了後も、記者からの質問は途絶えない
社長インタビュー プレスカンファレンス終了後の
伊原社長インタビュー映像

SPECIAL COLUMN NO.02 SPECIAL COLUMN NO.02

デトロイト復興の兆し、アメリカの強さを実感

この数年で自動車のデジタル化(Internet of Thingをはじめ電動化、自動運転化)の流れが加速する中、年頭の自動車メーカー、サプライヤーの主戦場がラスベガスで開催されるIT&家電見本市のCES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)」へと移行しつつあるように見える。確かにリーマンショック以降のデトロイトモーターショーには以前ほどの派手な演出は見られなくなったが、それでも各社のトップがわざわざ足を運び、ニューモデルや新技術などのワールドプレミアを行う場となっている。それは2015年、2016年と過去最高の自動車販売台数を記録し続けているアメリカ経済の好調さを表すものだ。

アイシングループ各社社長

それに伴いアイシン精機の伊原社長も「この数年でトランスミッションのみならず様々な分野でデトロイト3との取引を拡大するべく、良好な関係を築くことができている」と述べており、アメリカ市場におけるアイシングループのさらなる躍進も秒読みの段階に入っているようだ。いま数年前に破産したデトロイト市を復興させようと街灯をLED化したり、廃墟を除去するなどといったさまざまな試みが行われており、街に明るさが戻ってきているという。今年のデトロイトモーターショーは、あらためてアメリカのモータリゼーションの力を感じさせるものだった。

藤野 太一

Taichi Fujino

藤野 太一

Taichi Fujino

大学卒業後、自動車誌『カーセンサー』、『カーセンサーエッジ』の編集デスクを経てフリーの編集者兼ライターに。自動車専門誌、一般誌をはじめ、自動車関連の分野をはじめとしたビジネスマンを取材する機会も多く『日経ビジネス』『日経トップリーダー』『日経デジタルマーケティング』などにも寄稿する。JMS(日本モータースポーツ記者会)所属

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